19日、神奈川県の中学2年生がいる家庭に行った初の調査で、2022年の世帯所得が187万5000円以下で暮らす、いわゆる「貧困家庭」の割合が10.1%にのぼることがわかりました。つまり、約10人に1人の子どもが、厳しい生活環境に。
この記事の画像(15枚)「めざまし8」が取材したのは、神奈川県に暮らす中学生と小学生の子どもがいる4人家族の父親です。夫婦共に健康面の問題から働くことができず、収入がない“貧困状態”。生活保護を受けて暮らしているといいます。
貧困に悩む4人家族の父親:
やはり子どもの環境をいかに整えるか。それが一番悩みですよね。うちの場合はなんとか生活しているというぐらいですね。(自分が)ちょっと体を壊して、仕事の方ができなくなってしまった関係で。
――子育てにはお金がかかる?
そうですね、やっぱりそれはかかっています。(具体的には)うちの場合は、食費ですね。お恥ずかしいですけど、こんな状況ですね。何もないです、調味料だけは、節約して使えますけど、食材はどうしても使っちゃいますんでね。
見せてくれたのは、ほとんど何も入っていない冷蔵庫。調味料以外の食材は卵2個と、納豆1パックのみ。“米びつ”にも、ほんの少しのお米が残されているだけです。
貧困に悩む4人家族の父親:
お米もこんな状況なんですけど…。もうギリギリですけどね。
本当は栄養面もね、いろいろ考えてあげなきゃいけないんですけど、なかなかそうも言っていられないので、とにかくおなかだけは満たしてあげようということですね。
この日の夕食のおかずは、家族4人で、豆腐2丁を使った麻婆豆腐のみ。
近くの子ども食堂から食品など食材の支援を受けていますが、生活保護で受給したお金は、家賃や食費で消えてしまうといいます。
専門家が警鐘「放置すると社会的損失」
急がれる、貧困家庭への支援。
神奈川・横須賀市にある子ども食堂には、さまざまな事情によって自宅で晩ご飯が食べられない子どもたちがやってきます。
週に2回ほど利用するという、高校3年生は…。
子ども食堂に来ていた高校3年生:
きょう、朝ごはんしか食べてなかったんで…うれしいです。
(学校に)お弁当を持って行ってなくて、よく相談室に逃げていたんです、昼休みになると。「あんまりご飯を食べられていない」という話を先生にしたら、紹介してくれて。(子ども食堂が)ないと、結構もう…しんどかったと思います。
子ども食堂「よこすかなかながや」和田信一理事長:
やっぱり経済的に厳しい家庭はかなりいる。子どもの口から「“ながや”でご飯食べないと餓死しちゃうよ」とか。
子どもの貧困は、単に食事の問題だけではありません。
和田信一理事長:
経済的貧困から、「心の貧困」につながって学校に行けなかったりとか、いじめにあったりとか、心にいろんな傷を負っていって、「心の貧困」になっていってしまう子どもたちっていうのは、すごく多いと思うんです。
さらに専門家は、「子どもの貧困問題」に向き合わなければ、やがては国民全体に影響が広がると指摘します。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主任研究員 小林庸平氏:
子どもの貧困を放置すると、(生涯)所得が下がってしまうわけですね。(貧困の)子ども全体で40兆円ぐらい社会的損失が、将来にわたって生まれてしまうというですね。
2016年の推計では、貧困世帯の子ども約260万人の貧困状態を改善せずに放置した場合、生涯所得が減少。約40兆円の社会的損失が出ると試算されています。
さらに税金や社会保障など国の財政収入面でも、約15.9兆円の損失があるというのです。
小林庸平氏:
公共サービスの水準を落とすということで(損失分の)16兆円をまかなうこともできますし、増税することによって(損失分を)まかなうこともできるわけですが、いずれにしてもそれは、国民全体の負担になってくるということです。
(めざまし8 2月22日放送)