総合建設業ヤマウラの元社員とその長男が業務上横領の疑いで逮捕された事件の続報。長男は「金は返すつもりだった」と容疑を否認しているという。ただ、金を受け取っていたとみられる長男の会社や個人の口座には残金がほとんどなかったことがわかった。
3億6000万円を横領した疑い
2月16日午前9時前、村田浩幸容疑者が松本警察署から出てきた。フードを被っていてその表情をうかがい知ることはできない。
眼鏡とマスク姿の男。業務上横領の疑いで逮捕されたヤマウラの元社員・村田浩幸容疑者(63)。16日、身柄を検察庁に送られた。
この記事の画像(7枚)長男で長野市の会社役員・村田俊樹容疑者(35)も送検された。
親子は共謀の上、2023年2月、浩幸容疑者が経理を担当していたヤマウラの子会社の口座から3億6000万円を不正に引き出し、俊樹容疑者の会社の口座に振り込んだ横領の疑いがもたれている。
残金ほぼなしも「返すつもり」
これまでの調べで俊樹容疑者の会社は金を振り込まれた当日に総合格闘技イベント「RIZIN」の運営会社に2億円を貸付けていたことがわかっている。
また、キャバクラなどの飲食店の支払いやブランド品の購入などにも充てていたとみられる。
捜査関係者によると、樹容疑者の会社や個人の口座には残金がほとんどなかったという。
ただ、俊樹容疑者は「金は返すつもりだった」などと容疑を否認しているという。
送金先は「ペーパー企業」
なお、俊樹容疑者の会社は2021年に設立されたが、登記上の辰野町の住所は容疑者の同級生の実家となっている。
重機のリースや建設資材などの事業とされているが、捜査関係者によると営業実態がほとんどない「ペーパーカンパニー」だったという。
26億3800万円余り不正支出
ヤマウラの調査では浩幸容疑者が不正に引き出した金は2013年から約10年間で26億3800万円余りにのぼっている。このうち約23億円が俊樹容疑者の会社と個人の口座に振り込まれていた。
多額の金はどこにいったのか?
警察は全容解明に向け金の流れを調べている。
RIZIN運営会社がコメント
なお、俊樹容疑者の会社が2億円を貸し付けていた「RIZIN」の運営会社はNBSの取材に対し「事件と弊社との関係は一切ありません」「村田俊樹容疑者はコロナ禍の大変な時期に、格闘技を盛り上げ応援していただけるスポンサーの一社という認識でした」「資金などが報道の通りとすれば弊社としても困惑するばかりです。今後の取引は当然控えさせていただきます」とコメントしている。
(長野放送)