漫画「セクシー田中」さんの作者・芦原妃名子さん(50)が亡くなったことを受け、出版社の小学館が8日、新たにコメントを発表した。
ドラマ化をめぐり、なぜ原作者の思いが伝わらなかったのだろうか。小学館のコメントに対して、様々な声が挙がっている。

脚本家と小学館 コメントに“相違”も…

20代女性A:
感情が入っているなと感じた。

40代女性:
一歩引いた感じで、冷たい印象を受けました。

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様々な受け止め方が聞かれた、小学館による新たなコメント。発表された長文の文章には、「著者の皆様全員が持っている大切な権利、これが『著作者人格権』です。今回、その当然守られてしかるべき原作者の権利を主張された芦原先生が非業の死を遂げられました」とある。

小学館側は「原作者である芦原さんの意向はドラマ制作側に伝わっていた」と明かし、「感情的にならず、冷静なメッセージを考えていたため、発信が遅れてしまった」とした。

小学館 第一コミック局(サイトより):
それでもどうしてもどうしても、私たちにも寂しいと言わせてください。
寂しいです、先生。

木村拓也キャスター:
改めてこの背景を見ていきますと、2023年に日本テレビで実写ドラマ化された「セクシー田中さん」、元々は小学館から出版されている芦原さん原作の漫画です。

木村拓也キャスター:
このドラマ化をめぐり、原作者の芦原さんは「必ず漫画に忠実に」などの条件をつけて許可という形をとっていたそうですが、脚本の段階でストーリー、キャラクターが原作から大きく変更されていたため、何度も加筆修正をすることになったなどと明かしていました。
このドラマ化をめぐっては、芦原さんの意向が通じていたのか、あるいは否かという事実関係がまだ明らかになっていないというところがあります。

脚本を担当した相沢友子氏は、芦原さんがつづった文章について「私にとっては初めて聞くことばかりで、それを読んで言葉を失いました。一体何が事実なのか、何を信じればいいのか」と語り、「必ず漫画に忠実に」というような意向は初耳だと話している。

一方、小学館側は「弊社からドラマの制作サイドに意向をお伝えし、原作者である先生にご納得いただけるまで脚本を修正していただき、ご意向が反映された内容で放送された」とコメントしている。

「先生を守ることにはならない」厳しい声も…

榎並キャスター:
小学館の言っている「ドラマ制作サイド」に、脚本家の相沢さんは含まれていないのか?初耳というと、そこでなぜ食い違いが生まれてしまうのか?というのは本当に疑問ですよね。

木村拓也キャスター:
双方が言ってることが仮に正しいとすると、行き違いが生じてしまうというようなところになっています。

脚本家と小学館、双方のコメントについて、街の声は…

20代女性B:
こういうことができていれば、こういうことができていたらっていう、“たられば”が綴られていて、色々な法律の名前が書かれていたけれど、原作者に寄り添ってるものというよりかは、いち小学館としてただコメントが出されているだけで、この先生を守っていたりすることにはならないかなと思いました。

20代女性C:
著作権・人格権っていうのを尊重している、自分たちはコンプライアンスを守っているっていうことをしっかりおっしゃりたいんだなって、小学館から見て取れるんですけど。
小学館がどういう風に守ってるかっていうのは具体的に書かれてないので、どういった経緯でそうなったのかっていうのが、ちょっと説明がなされてないなっていう気はしました。

50代女性A:
こうなるまで気づかなかったっていうか、何かできなかったのかなっていうのは、ちょっと思いました。ちょっと遅いんじゃないかなと思いました。書面で拝見する限りは、あんまり心がこもってないっていうか。

小学館側の新たなコメントに批判的な声が挙がる一方で、芦原さんと小学館側の繋がりをある程度確認できた、という人の声もあった。

20代女性A:
(声明を)早く出して、みたいなコメントも結構見かけたんですけど、一つの団体を代表して出すわけだから、時間がかかってもしょうがないかなと。
(コメントは)原作者の先生のことをしっかり考えてくださって、出してくださってるってのはすごい伝わりましたね。

50代女性B:
小学館の方が、先生の意向が反映されなかったというわけではない、ということを書かれていたので、ファンとしては信じてあげたいな。安心しました。

20代女性D:
小学館は芦原先生の味方だったんだろうなというのと、本当に悲しんでいらっしゃるというのをすごく感じました。でも守れたんじゃないのかなっていうのもやっぱりすごく感じましたね。
(SNSに)あんなポストしてる人、放っておいたのかっていうような感覚もあったので、もう少しできることはあったんじゃないのかなと思います。

“同業者”からは「ドラマ化にルール作り必要」の声も

木村拓也キャスター:
「機械的で自分たちの立場を守るところが多い」という厳しい言葉や、一方で「私たちに、もっとできたことはなかったか後悔」というようなコメントもありました。

榎並キャスター:
同業者の皆さんは、小学館のコメントをどう見ているかですよね。

木村拓也キャスター:
亡くなった芦原さんに対して、「のだめカンタービレ」の二ノ宮知子さんは「やっと作家に届く心からの声が聞けてよかったです 現場の皆さんは本当につらかったと思います」とコメント。
「ちはやふる」の末次由紀さんは「編集部 皆さんの言葉を大事に受け取りたい。原作者は制作者と脚本家に早い段階で会うなどのルールも必要だと思う」とコメントしています。ドラマ化にルール作り・枠組みが必要だという提案です。

また、小学館側は再発防止について「今後の映像化において原作者をお守りすることを第一として、ドラマ制作サイドと編集部の交渉の形を具体的に是正できる部分はないか、よりよい形を提案していきます」と話している。

明治大学・齋藤孝教授:
(小学館は)コメントを出したこと自体はいいと思いますけど、2点大きな問題がありますね。
ひとつは「原作に忠実」という意向を伝えたといいますけど、現実にそれとは違うものが出来上がってしまうということは、伝えきれてない。そこのチェックを出版社側がやるべきだった。

もうひとつはXへのポストですね。脚本家の投稿が、直接の引き金なんです。それに対しては、原作者ではなく、小学館が何らかの措置をすべきだった。だから、小学館が守り切れるポイントは2点あったんじゃないか。やっぱりこの問題は、原作者軽視になるんじゃないかって問題でもあると思うんですよね。

榎並キャスター:
テレビ局員としても、著作者人格権、これは本当に守られるべきというところは念頭に置かなければいけないと思いました。そして、今後も検証することがとても大切だというふうに思うんですね。

木村拓也キャスター:
悩みや不安を抱えて困っているときには、電話やSNSで相談する方法があります。
「こころの健康相談統一ダイヤル」など複数の窓口があります。1人で抱え込まずに相談をしてください。

・「こころの健康相談統一ダイヤル」0570-064-556
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(「イット!」2月9日放送分より)