能登半島地震では各地の道路にも被害が…輸送路の寸断で、被災した人たちに支援物資を運ぶことが困難となった。同様の事態は地震以外の災害でも起こりえる。
被災地にいち早く支援物資を届けるための大分県内の取り組みを取材した。

土砂崩れで孤立…ドローン活用

県内でも去年の夏、由布市湯布院町で大規模な土砂崩れが発生し、1世帯が孤立状態に。
この時活用されたのがドローンだった。消防隊員が歩いてたどり着くのに約2時間を要した場所にドローンは3分で到着。食料などを届けることができた。

ドローンで医薬品を運ぶ実証実験

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1月、別府市で行われたドローンの実証実験。運ぶのは医薬品。
1.5kmほど離れた場所への輸送を実施し、約7分で無事に届けることができた。
医薬品を入れた箱にはスマートフォンで開ける鍵が付いていて、特定の人のみ取り出せる安全対策がとられている。

別府市薬剤師会の竹田貴登事務長は「ドローン輸送のノウハウを 持った団体がその地域にいないと意味がない。それをやることができる団体がいることがすごく大事」だと話していた。

移動できる薬局 モバイルファーマシー

一方、被災地に医薬品を届けるためにこんなものも…
県薬剤師会が2014年に導入した「モバイルファーマシー」という車両。

「移動薬局ということで災害の時に薬の調合などができない場合に、これが被災地に行って患者さんに薬を与える」(県薬剤師会 安東哲也会長)

モバイルファーマシーはいわば「移動できる薬局」。
車内には最大500種類ほどの薬が置けるスペースのほか給水設備や薬を小分けにする機械などが備えられていて、薬局と同じように薬を調合して処方することができる。

熊本地震では被災地に派遣

モバイルファーマシーは2011年の東日本大震災で薬局が被災した教訓を踏まえ、全国で導入されるようになり、大分県の導入は全国2番目だった。

2016年の熊本地震では被災地に派遣され、約1カ月半薬の処方を行ったという。

県薬剤師会の安東哲也会長は「診療所もない病院も稼働してない状態の中で感染症とかいろんなものが蔓延してしまう。もしも災害があればすぐに現地に飛んでいく使命感がある」と話す。

災害が起こる度に課題となる地域の孤立や物資の輸送…新たな機器や設備が解決する鍵となりそうだ。

(テレビ大分)

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