虐待を受けた若者たちの姿を追ったドキュメンタリー映画の上映会が2023年11月北海道札幌市で開かれた。
虐待の当事者でもある監督に、作品に込めた思いを聞いた。
虐待後の人生 映画に
「どんな環境でも夢を諦めたくないです」
「助けてなんて言えない。本当は助けてほしい」
上映会には約140人が参加
子どもの頃に虐待を受けた若者たちが自分の経験や思いを語るドキュメンタリー映画「REALVOICE」。
2023年11月23日、札幌市で上映会が開かれ、約140人が鑑賞した。
「傷つけられるということがどれだけ人生に影響するのか、もっと知ってほしいと思って映画を作りました」(REAL VOICE山本昌子監督)
監督自身も育児放棄を受けた
監督をつとめたのは山本昌子さん(30)。
自身も親からの育児放棄を受け、生後4か月から児童養護施設などで育った。
「あと何時間か遅かったら死んでしまっていた段階で保護してもらい、施設に行くことになりました」(山本監督)
19歳で施設を退所。
頼れる家族がいないことへの孤独感や同じ境遇の人が虐待のフラッシュバックに苦しんでいる姿を目の当たりにし、「現状を伝えたい」と北海道を含む全国70人を撮影した。
「大人になったら『過去のことでしょ』『忘れなさい』とよく言われる。決して簡単に終わることではない。孤独感や『死にたい』という思いを抱えながら生きている子がとても多い」(山本監督)
「子どもが傷つけられず 大切に守られる社会に」
映画では親から虐待を受けた2人の女性に密着。
暴力や貧困などの経験や虐待をした親と向き合う葛藤が描かれている。
虐待を他人事と思わずに身近にある話だと考えてほしい。
「当事者の子たちがつかみにいけるところに支援がないと、なかなか救うのは難しいのではないかなと思ったので、できるようになったらうれしいなと思いました」(映画を見た人)
山本さんは映画を通して、子どもが傷つけられず、大切に守られる社会になってほしいと願っている。
「(虐待が)一生を狂わすくらい大きなことだということを知ってほしい。傷ついた心を治すことは難しいので、そもそも傷つかない、そういう社会を目指したい」(山本監督)