世界各地の災害現場を視察し、全国の自治体や企業などで災害時のマニュアル作りなどに携わる防災・危機管理のスペシャリストが、能登半島地震で被害を受けた富山の被災地を視察。地区ごとの避難ルール作りを訴えた。

防災のプロが見た被災地

地震で家屋に大きな被害が出た氷見市中心部の北大町を訪れた、防災システム研究所所長の山村武彦さん。地震から1カ月以上が経った今も倒壊したままとなっている家屋などを視察した。

倒壊した家屋(富山県氷見市)
倒壊した家屋(富山県氷見市)
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防災システム研究所 山村武彦所長:
「障子の破れ方見ても、揺れの激しさが見える。ばたばたとゆっくり揺れたくらいでは障子はそんなに破れない。細かい振動と大揺れと一緒になって、つまり短い周期の揺れと1秒から2秒というキラーパルスという揺れが一緒になっていたのと、家にいた人は激しい横揺れという感じだったかもしれない」

50年以上にわたり、国内や世界各地の災害の現地調査を行い、多くの企業や自治体で防災・危機管理のアドバイザーを務めてきた山村さんは、北陸の家は、地震に弱い構造となっていると指摘する。

防災システム研究所 山村武彦所長:
「北陸(の家)というのは、雪には強いんですね。上からの圧力に対してはそれを耐える力を持っていますが、横に揺れる力というのは別。雪に強くても地震には弱いという家がけっこう多い。まさかこんな大きな揺れが襲うとは誰しも思っていなかったでしょうけどね」

「地震=津波と思ってすぐに行動を」

富山県射水市の海岸
富山県射水市の海岸

その後、向かった射水市の新湊では、「津波に巻き込まれると死ぬ確立が高い」と、津波から逃れるために素早い避難の重要性を述べていた。

防災システム研究所 山村武彦所長:
「これ一気に、海岸すれすれだもんね、堤防が。津波警報だと最大3メートルの津波が可能性あるわけですけど、一気にこの上に1メートルから1メートル50以上の水位が来るという可能性がある。1メートルの津波に巻き込まれると人は100%、死ぬ率が高い。津波を見てから(逃げていては)間に合わない、地震=海岸線では津波と思ってすぐに行動を起こすことが大事」

射水市では、2018年に策定した市の津波避難計画で、津波到達までに避難区域の外に徒歩で逃げることが難しい避難困難区域を設定している。

防災システム研究所 山村武彦所長:
「高い建物がないと、高台まで逃げるのに、車で避難することになってしまう可能性が高い。人口が少ないところは車で避難してもいいと思うが、人が多いところはみんなが車で避難したら渋滞でかえって危険になってしまう、だとしたら地域ごとに地震のときどうするかということを真剣に話し合って、行政とともに、住民同士も知恵を出し合って工夫する必要がある」

山村さんは、海抜や津波が想定されている高さ、到達時間は場所ごとに異なるとして、それぞれの地区で、避難のルール作りをすることが大事だと強調した。

防災システム研究所 山村武彦所長:
「地域ごとにローカルルールを作って、津波だけは『遠くの避難所より近くのビル4階』というような分かりやすい標語でみんなが短時間で避難できるようにすることが重要」

(富山テレビ)

富山テレビ
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