近年、局地的な大雨が相次いでいる。先週、三重県では観測史上最大となる1時間に123ミリの猛烈な雨が降り、地下駐車場が水没する事態となった。車社会である富山では、同様の水害が起きた場合にどのような対策がとられているのか取材した。
三重県四日市市で発生した地下駐車場水没被害

今月12日、三重県・四日市市の中心部にある地下駐車場で水害が発生した。地下2階が完全に水没し、地下1階も水に浸かる事態となり、約270台の車が浸水被害に遭った。

車は地上へと向かうスロープを上りきったものの、周辺一帯が冠水しており、逃げ場を失う状況となった。四日市市では、この日1時間に観測史上最大となる123.5ミリの雨を観測した。
車を運転していた男性は「車高の高い車だったからなんとか脱出できた」と当時の状況を振り返る。

富山市の地下駐車場における水害対策
では、富山市の中心部にある地下駐車場ではどのような対策がとられているのだろうか。


同じく地下2階構造を持つ富山市役所の駐車場について、富山市管財課の薄島茂人さんは「雨水と地下に流れ込んだ水を貯水できる。一定の水がたまると排水ポンプが自動で作動し、外部に排出する」と説明する。

地下2階の駐車場には1分間に1200リットル排水できるポンプが2台設置されており、地上や地下1階から流れてきた雨水が溜まると自動的に排水する仕組みとなっている。

さらに薄島さんは「止水版を地下駐車場へ降りるスロープの手前で設置して、水害を防ぐ」と付け加えた。地下駐車場や市役所の入口には水の侵入を防ぐ止水板が設置されており、1.5mの水位まで対応可能だという。

また、多くの観光客が利用する富山城址公園の地下駐車場にも同様に雨水を排水するポンプが2台設置されているほか、地下には雨水を一時的に貯める貯水施設が整備されている。
富山市は、こうした対策により市の中心部では10年に1度と言われる1時間に58ミリの大雨に対応できるとしている。
専門家「従来の街づくりの考え方を変える必要がある」
しかし、今回四日市市で降ったのは1時間に120ミリを超える猛烈な雨である。従来の想定を大きく上回る降雨量に対して、現在の対策で十分なのだろうか。

河川災害が専門の中央大学・手計太一教授は「富山に限らず、地下施設を持っているところでは(四日市市のような被害が)発生する可能性が高い。提供している駐車場側も適切なタイミングで止水版を設置することなど改めて見直してほしい」と指摘する。
近年の異常気象に対応するためには、従来の街づくりの考え方そのものを見直す必要があるとの指摘は、富山市にとっても他人事ではない課題と言えるだろう。