元日の能登半島地震で最大震度7の揺れに見舞われた石川県能登地方では、災害ボランティアの活動がようやく始まった。2020年の熊本豪雨で被災した住職が炊き出し活動を行い、復興に向けた支援を続けている。

「いてもたってもいられない」

石川県庁(1月27日)
石川県庁(1月27日)
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石川県では1月27日、全国から募集した災害ボランティアの活動がようやく初日を迎えた。活動を希望する全国からの登録者は2万人以上にのぼる。

兵庫県からのボランティア:
「いてもたってもいられないという感じで、できる限り参加しようと応募した」

金沢市からのボランティア:
「同じ石川県民として何かできることがないかなと、ボランティアに参加した」

活動初日、七尾市や穴水町、志賀町で活動に参加したのは全国から集まった85人のボランティア。

液状化の被害が深刻な七尾市では、ボランティアの人たちが、被災した住宅から重たい家財を運び出し、片付けを手伝っていた。 

東京からのボランティア:
「トロフィーとかもあって、思い出のある物が多いと思うので、ちょっと悲しい気持ちになる。自分にできることは精一杯したい気持ちからボランティアに申し込んだ」

活動を依頼した家族:
「自分たちではどうしていいか分からなかった。ボランティアの方が手際よく進めてもらい安心した」

あの時の‟恩返し”へ

能登町の宇出津総合病院では、「被災した経験を活かしたい」と支援を続ける人の姿があった。

熊本県球磨村の寺の住職、岩崎哲秀さん。

支援団体の仲間と医療従事者や病院の利用者に、炊き出しの弁当を配っていた。

2020年の熊本豪雨では、石川県から自分の住む村に多くの支援物資が届いた。

ボランティアはその「恩返し」だと言う。

岩崎哲秀さん:
「(2020年の熊本豪雨で)球磨村も豪雨災害で被災した。その時石川県をはじめとする多くの方々に支援してもらった。僕にできることがあればと思ってこちらまでやって来た。病院や役場など、最前線で頑張っている人を後押しする支援ができればと活動している」

病院は、現在も建物の一部で断水が続き、透析や手術を停止している。多くの職員も被災者だ。

病院で勤務する医師:
「温かくて嬉しいです。ありがとうございます。マンパワーや機械も少ない中で大変ではあります」​

宇出津総合病院 長谷川啓院長:
「職員も自宅などかなり被災している中で、1日1回の小さいおにぎりと味噌汁というような食事がかなりの期間続いた。ボランティアの支援は非常に嬉しい」

岩崎さんは、被災した地区も回っていた。 

「在宅避難」を続ける住民に米や野菜など、支援物資を配るためだ。自身が被災者だからこそ分かる、支援のありがたみ。

「恩返し」は、これからも続けるつもりだ。

岩崎哲秀さん:
「困っても支援を受けられない地域があるというのを知っているので、下支えさせていただければ。僕らもどん底の底まで落とされたので分かるが、それでも必ず何とかなる。先を見ずに足元だけを見て、今をやりぬいて、やり過ごしてほしい」

発災から1カ月以上が過ぎたが、人手も物資も足りない現状。

災害ボランティアの受け入れの遅れが、能登半島地震の課題の一つ。道路などインフラの復旧が急務となっている。

(富山テレビ)

富山テレビ
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