6日、KDDIと三菱商事がローソンと資本業務提携を発表した。
KDDIは、4月ごろにローソン株の50%取得予定で、TOB(株式公開買い付け)が実現すればローソンを三菱商事と共同経営することになる。
狙いは店舗網とデジタル技術の融合による需要掘り起こしだ。

KDDIがローソンにTOB

KDDIが三菱商事とともに、ローソンの共同経営に乗り出すことになり、通信大手と小売の連携の行方が注目されている。

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KDDIと三菱商事、ローソンの3社は6日、資本業務提携を結んだと発表した。

KDDIはローソンに対して、4月ごろをめどに4900億円余りを投じてTOBの手続きを開始し、株式の50%を取得する方針。

ローソンは、三菱商事が株式の50%余りを保有し親会社となっているが、TOBが実現した場合、KDDIと三菱商事がそれぞれ50%を保有し、ローソンを共同経営する形となる。

このニュースについて、フジテレビ・智田裕一解説副委員長がお伝えする。

── ローソン、KDDI双方の狙いは何だろうか?
今回の提携でカギになるのは、リアル店舗とネット展開の融合だ。

ローソンが全国に広げている約1万4000の店舗網と、KDDIが強みとして持つ、ネット通信でのデジタル技術のかけ合わせで、新たな需要の掘り起こしを狙っている。

── では、ローソンの店舗で何ができるようになるのだろうか?
サービス強化が想定される分野が、宅配・ヘルスケア・金融の3つだ。

まず1つ目が「宅配」だ。ローソンはすでに、店舗を物流拠点と位置づけ、商品をネットで注文すれば、近くの店舗から最短15分で届けられるというサービスを一部で始めている。

この先、店舗の全商品の在庫状況をリアルタイムで確認して注文できるようにする計画で、KDDIの技術力が合わさることで、このサービスをより迅速にし、強化することができるようになる。

2つ目が「ヘルスケア分野」だ。例えば、近くのローソン店舗に行けば、お店にある端末を利用して、リモートで薬剤師に相談に乗ってもらったうえで薬を購入できるようになったり、介護などの相談もできるようになることで、健康管理の拠点として役立てられるということが想定される。

ここでもKDDIのデジタル技術が活用されるが、対面の時と同じようにくわしく、かつ、気軽に相談できる環境を作れるかがポイントになりそうだ。

そして、3つ目が「金融」だ。KDDIはすでに保険や銀行サービスを手がけているが、近くのローソンの店舗で端末を通じて気軽に相談し、保険に加入したり、定期預金を組んだりということができる可能性がある。

新たなサービスを開始か

── KDDIとローソンが組むことで、私たちに身近なポイントサービスなどはどうなるのだろうか?

ローソンとKDDIは、すでにポイントを「Ponta」に統合してサービスを展開しているが、同じ陣営になることが確定したことで、新たなサービスが打ち出される可能性がある。

今回の提携が、対抗するNTTドコモのdポイント、ソフトバンクのPayPayポイント、楽天モバイルの楽天ポイントの大きな動きにつながることも想定される。

国内のコンビニエンスストアの店舗数は、大手3社で5万2000を超え、飽和状態ともいわれる一方で、携帯各社も通信事業だけでは成長を見込めなくなってきている。

「Ponta」ポイントを軸にしたリアル店舗とネット展開の融合戦略が、私たちのコンビニの利用の仕方を変えるきっかけになるのか、提携の成果が問われる。
(「イット!」 2月7日放送より)

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