この通りに進むと思うのは”無知”

 
 
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南北首脳が朝鮮半島の非核化で合意したことは素晴らしい。
次に行われる米朝首脳会談で、金正恩氏が核放棄のスケジュールをきちんと示せば、トランプ大統領も軍事的圧力を弱めるだろう。
さらに日朝首脳会談で拉致問題が解決されれば、安倍首相は経済援助に踏み込む。

ただすんなりこの通りに進むと考えるのはあまりにも楽観的、いや、これまでの北朝鮮の行動を考えると、無知と言っていいだろう。
 

「朝鮮半島に平和が来る」とはしゃいでいる人、正気か?

 
 

そもそも金正恩は何か新しいことを言ったわけではない。
朝鮮半島の非核化はおじいさんの金日成の頃から言っている。
核実験施設プンゲリの廃棄も、多くの専門家が、もう使えないので差し出すだろう、と南北会談の前に指摘していた。
核廃棄の具体的な話は何もしてないのだ。

そもそも金正恩は、国際ルールに違反して核ミサイル開発を行い、いまだに日本人拉致被害者を返さず、叔父を銃殺し、兄の暗殺指令を出したと見られている人。

一方の文在寅大統領はそんな犯罪国家への制裁をやめてあげようよと、各国にお願いして回っている人。

こんな人達を信用する人っているのかな、と思っていたら心底驚いた。
テレビや新聞を見るといろんな人たちが「朝鮮半島に平和が来る」とはしゃいでいるではないか。
正気なのだろうか。
 

出発点は、拉致被害者を返すこと

 
 

金正恩は核放棄しなければ、経済制裁で自分の国が破たんすることをどうやらわかっている。軍事的にちょっかいを出せばトランプからやられることも、拉致問題を解決しないと安倍首相が動かないこともわかっている。つまり事態が動く可能性は十分にある。

だからこそ出発点は北朝鮮が核廃棄の計画を示すことであり、拉致被害者を返すことである。
ニヤニヤしながら朝鮮半島の平和を口先だけで訴えることが出発点ではないのだ。

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。