ことし2024年に変わるもののひとつがお札。1万円札の肖像は福沢諭吉から渋沢栄一へと変わるが…福沢諭吉の出身地、大分県中津市では今こそ偉業をPRしようと様々な取り組みを進めている。

大分県中津市出身の偉人 福沢諭吉

大分県中津市。県の北部に位置し、人口は約8万2000人。
市街地には城下町の風情が残っているほか、ここ最近はから揚げの聖地としても一躍有名になった。その中津市でから揚げ以上に愛されているのが、福沢諭吉。

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福沢諭吉は中津藩士の子どもとして誕生。
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」で知られる“学問のすゝめ”の著者として、また慶應義塾の創設者としても有名。

1984年~1万円札の肖像に

おなじみの1万円札の肖像には1984年から起用されている。当時は中津だけでなく大分県内全体が盛り上がった。

当時のインタビューでは、県民から「とてもうれしい」「使うときに出してみて、使いきれないんじゃないですかね。拝まないといけないみたいで」などといった声が聞かれた。

しかし、ことしの7月、新しいデザインの紙幣の発行が始まり、1万円札の肖像は福沢諭吉から明治時代の実業家・渋沢栄一へと変更に…
中津にとっては一大事。

不滅の福澤プロジェクト

中津市の奥塚正典市長は「むしろ、このお札が変わるタイミングで、もう1回福沢先生の功績を皆によく知ってもらい“不滅の福澤プロジェクト”というような形で活動を中津市としても続けていかなければいけない」と話す。

こうして立ちあがった“不滅の福沢プロジェクト”。
地元の経済界なども巻き込んでオール中津で福沢諭吉のPRに励んでいる。

図書館には約2000人分の顔写真で作ったモザイクアートを展示しているほか、街のいたるところで福沢諭吉をアピール。

カレーと諭吉…

また、こんな取り組みも…「福沢諭吉のカレースタンプラリー」
カレーと諭吉…一体どんな関係があるのか。

「学問のすゝめ」の12年前に出版された「増訂華英通語」。
福沢諭吉の初の出版物で、英単語にカタカナの読みを付けて紹介している。
この中で「コルリ」と紹介されているのがまさに「Curry」のこと。これが日本に初めてカレーを伝えたものと言われている。

こうした諭吉とカレーの意外な関係をアピールしていこうと中津市内16の飲食店でスタンプラリーを実施。
「諭吉コルリ」では850円でカレー食べ放題という大盤振る舞いのメニューを提供している。

諭吉コルリの菊池徹店長は「もう私たちにとっては、地域の偉大な先達というか、先人でありますので、福沢諭吉先生の名前が忘れられないような活動をしていきたいと思う」と話す。

諭吉の魅力を伝える大切な1年に

ほかにも、新しい1万円札の肖像となる渋沢栄一の出身地・埼玉県深谷市との連携に加え、ことしの秋には市民ミュージカルの上演も予定している。
プロジェクトの関係者は今こそ多くの人に福沢諭吉の教えを伝えたいと意気込む。

福沢記念館の泉史朗館長は「福沢先生が生きた時代は、明治維新の激動の時代だった。同じような時代の中で、先生の教えが、今を生きる若者たちに少しでもヒントになれば」と話す。

お札の肖像は変わってもその偉業は変わらない…中津市にとってことしは郷土の偉人福沢諭吉の魅力を伝える大切な1年となりそうだ。

(テレビ大分)