1974年から1975年に起きた、連続企業爆破事件の重要指名手配犯で、過激派「東アジア反日武装戦線」のメンバー・桐島聡容疑者を自称する男の身柄を、警視庁公安部が確保していることがわかった。

“偽名”使い末期がんで入院していた男

捜査関係者によると、桐島聡容疑者(70)を自称する男は、神奈川県内の病院に入院していて、現在警視庁公安部が接触し、本人確認を進めている。

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桐島容疑者は、1974年に東京都丸の内の三菱重工ビルの玄関前に置かれた爆弾が爆発し、8人が死亡380人以上がけがをした事件などを起こしたとされる「東アジア反日武装戦線」のメンバーで、重要指名手配犯として1975年に爆発物取り締まり罰則違反の疑いで指名手配され、50年近く逃走していた。

捜査の最新情報について、警視庁記者クラブから中継でお伝えする

フジテレビ社会部 松木麻記者:
重要指名手配犯の疑いがある人物が半世紀ぶりに急遽浮上しました。
どのようにわかったのかというと、桐島容疑者を名乗る男は、末期がんを患い神奈川県内の病院で偽名を使って入院をしていました。

そして、男は突然、本名を名乗る趣旨の発言をし「桐島聡」であることを語ったということです。

警視庁公安部は現在、男と接触し本人かどうかの確認を行っているということです。
指名手配されている桐島容疑者は、過激派の「東アジア反日武装戦線」“さそり”グループの一員です。

桐島容疑者は、1975年に手配されていて、警察庁重要指名手配犯のうち逃走期間が最も長い容疑者となります。

本人と確認されれば、重要指名手配事件が半世紀ぶりに大きく動き出すことになります。

「東アジア反日武装戦線」が関与したとみられる事件とは?

「イット!」のスタジオでは、平松秀敏解説委員が解説する。

榎並大二郎キャスター:
交番では、本当にこの顔をよく見るなという人物です。改めて、どのような事件なのでしょうか?

平松秀敏解説委員:
当時、東アジア反日武装戦線というのは、過激派ですよね。過激派は、3つのグループがありましたが、この3つのグループが1974年から1975年にかけて、大手企業に対して連続爆破事件を起こした、企業に対するテロです。

最も有名なのが、丸の内の三菱重工ビルです。
三菱重工ビルを狙った爆破事件では、8人が死亡300人以上が重軽傷を負ったということです。

「東アジア反日武装戦線」は、これまでに8人逮捕されていて、そのうち2人はもう死刑が確定しています。そして、他メンバーのうち3人は「超法規的措置」で釈放されて海外逃走中なんです。
「超法規的措置」とは、日本赤軍が海外で起こしたハイジャック事件の人質と引き換えに釈放されたということです。

なので、この事件自体は、まだ解決はしていないということです。

桐島容疑者については、私の記憶が正しければ東アジア反日武装戦線のメンバーの中で唯一、一度も逮捕されずにずっと逃げ延びてきた容疑者であるということなんです。

50年前の事件だが…時効は止まっていた

榎並大二郎キャスター:
50年前の事件ですが、時効はどうなるのでしょうか?

平松秀敏解説委員:
超法規的措置によって海外に逃亡中の共犯者がいるので、その時点でこの事件は時効が止まっているんです。
時効が止まっているので、まだ事件の捜査は続いているということです。

榎並大二郎キャスター:
今後はどのような動きになっていのでしょうか?

平松秀敏解説委員:
逮捕するのかどうかというのが、何とも言えないと思います。
なぜかというと、末期がんの状態ですから、どこまで勾留に耐えられるのかというのも疑問ですし、それよりもまずは本人であるかどうかの確認が、最優先だろうと思います。

明治大学教授・齋藤孝さん:
僕は、当時中学生でした。すごい恐ろしい事件として記憶していますし、日本中が騒然としましたね。
逃げ続けてた人間が、今なぜ本人だと名乗り出たのか、あるいはその当時、どういう動機や心境でやったのかを明らかにしてほしいなと思います。
(「イット!」1月26日放送より)