埼玉県立小児医療センターで2025年、白血病治療を受けた患者3人のうち10代の男性1人が死亡、2人が重体となったことが明らかになった。患者3人の体内から、本来髄腔内には使用しない抗がん剤「ビンクリスチン」が検出された。病院側は会見で「調剤や投与の手順に落ち度はなかった」と説明している。

通常使われない「ビンクリスチン」が3人の髄液から検出

埼玉県の病院で、抗がん剤の注射後に患者が死亡した問題。

今後、警察が調べる事態になっている。

この記事の画像(11枚)

青井実キャスター:
元埼玉県警の佐々木成三さんと見ていきます。信じられないようなことが立て続けに起きたということですが。

元埼玉県警・佐々木成三さん:
最悪な結果が出た以上、警察が認知したら、もちろん被害届の有無に関係なく、この事実を明らかにしなければいけないですね。かなり慎重な捜査が行われると思います。

宮司愛海キャスター:
今回この問題が起きたのが埼玉県立小児医療センターですが、小児患者に対して高度な医療を提供している病院です。今回異変が起きたのが、白血病治療のために抗がん剤の注射を受けた3人の患者です。2025年1月には10歳未満の男児が重体に、2025年3月には10代の男性が重体に。そして2025年10月ですが、別の10代男性が太ももの痛みなどの症状が出た後、亡くなりました。この3人からは、通常使われないビンクリスチンという薬液が検出されています。このビンクリスチンという薬剤ですが、白血病や悪性リンパ腫などに用いる薬です。血液の中に投与する静脈注射で使われるもので、脊髄周辺の髄腔内注射には使用しないものです。

ただ、今回この髄腔内注射の治療を受けていた3人の患者の髄液からは、検出されないはずのビンクリスチンが検出されたということです。今回の問題について、医療ジャーナリストで武蔵大学准教授の市川衛さんに伺いました。日本の血液内科専門病棟では起こりうるとは思えないが、現場の運用次第で取り違えミスという可能性は絶対ゼロとは言い切れない。このようにお話しされていました。

青井キャスター:
いろいろな可能性があるわけですが、病院の調査ではビンクリスチンの投与は確認できず、事故と事件の両面の可能性があるとして、今回警察に届け出た。これはどういうことが考えられると思いますか。

元埼玉県警・佐々木成三さん:
病院というのは重大なインシデント、つまりこういった事故を防ぐために、構造・仕組みというのはしっかりしているのは間違いないと思います。ただ、それなのに1年間という短い期間で3件もの事件が起きている、事故が起きているということは、警察はかなり慎重に見なければいけないと思いますね。このビンクリスチンというものがどこで投与されたのか。間違いない事実があります。その捜査はかなり慎重に行わなければいけないところです。

宮司キャスター:
これに関して11日、病院側が会見を行いましたが、抗がん剤注射を打つまでの流れについても説明がありました。まず、薬剤師が薬剤部の部屋にある無菌調剤室で薬剤を調剤します。ここで調剤されたものを看護師が病棟に移動させて、最後に医師と看護師が患者に投与する、こういった流れで行われていました。調査対策委員会が調査を行っていますが、この3つのタイミングは手順どおりで落ち度はなかったと小児医療センター側はしています。

この点に関して、市川さんはこのように指摘をされています。3回続いたことを考えると、あらゆる可能性の一つとして、あえてそれをしたという人がいた可能性は捨てきれないものの、故意ではないヒューマンエラーが起きていた可能性もあると。

青井キャスター:
この辺りもわかりませんが、いろんな可能性はあるという話ですね。

警察は故意の可能性含め本格捜査か

宮司キャスター:
病院側が言っている、落ち度はなかったというところに関してはどう受け止めますか?

元埼玉県警・佐々木成三さん:
警察もこれはあらゆる可能性を考えた捜査をしなければいけないんですが、故意ではないヒューマンエラーが1度ではなく3度起きているということは、その運用に不備があったのではないか。これも疑わざるを得ない状態になりますので、警察においてもこの薬の管理状態、セキュリティカードの管理状態、いろんなものを含めた捜査が必要になってくると思います。

宮司キャスター:
セキュリティカードという話もありましたが、会見で管理についても言及がありました。ビンクリスチンが保管されている薬剤部に入るには、セキュリティカードが必要。薬剤師以外が入ることは考えづらいということです。保管庫は専用で他の薬と混ざらないように保管されている。さらに調剤に関してはヒューマンエラーが起きないように指示書に基づいて行われ、今回の3人の調剤を担当した薬剤師は指示書に基づいて調剤したと説明をしているそうです。

青井キャスター:
こうやって病院がミスが起きないよう対策をしているように見えますが、この辺りどうですかね。

SPキャスター金子恵美さん:
手順が一見正しくても、そのときの患者さんの状況と、医師の判断がその患者さんにとって完璧であるとは限らないということはあって、こういった医療行為、医療事故は起こり得るわけですよね。今回の事案が起きた以上、他の医療行為に対して少し現場が萎縮しないように、今回の事案の原因究明をしっかりしてほしいと思います。

青井キャスター:
警察に捜査が移ったわけですが、今後どんな捜査をしていくんでしょう。

元埼玉県警・佐々木成三さん:
かなり難しい捜査になることは間違いないと思います。2025年、1年以上前の事件もそうですし、10月の事件ももう半年ぐらい経っている中で、果たして防犯カメラがどこまで保存されているのかということ。こういったことに関しては、今慎重に行う中でもスピードも必要になってくると思います。病院側がこの調査の段階でどのような資料を持っているのか、これは警察にぜひ積極的に提出していただいて、事案の解明というのをしていただきたいなと思います。

青井キャスター:
故意の可能性について、病院が全ての可能性を否定できないと答えているわけです。この辺りはどうでしょうか。

元埼玉県警・佐々木成三さん:
今の段階では故意か過失かというのはまだ分からない状態。ただ、偶然起こり得ないことが3度起きてるわけですから、慎重に警察は考えなければいけないと感じています。

まずは患者の皆さんが安心できるような経緯や原因究明を求めたい。
(「イット!」3月12日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(11枚)