2023年11月、宮城県内の空き家に侵入し、敷地内に止めてあった車のナンバープレートなど2枚を盗んだとして、ベトナム人の技能実習生の男2人が逮捕された。全国的に空き家が増加する中、2人は空き家に狙いを定めて、広域に渡って犯行を繰り返していたとみられる。

ガスバーナーとバールで... 

 邸宅侵入と窃盗の疑いで逮捕されたのは、いずれもベトナム国籍で技能実習生のリ・ヴァン・チャイ容疑者(36)とチャン・クアン・タン容疑者(30)。

左・送検されるリ・ヴァン・チャイ容疑者 右・送検されるチャン・クアン・タン容疑者
左・送検されるリ・ヴァン・チャイ容疑者 右・送検されるチャン・クアン・タン容疑者
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 宮城県警によると、2人は2023年11月に盗み目的で宮城県加美町の空き家に侵入し、敷地内に止めてあった軽乗用車のナンバープレート2枚を盗んだ疑いがもたれている。

 2人はガスバーナーで熱した窓ガラスをバールで破り、鍵を開ける手口で、侵入・窃盗を繰り返していたとみられる。警察の担当者によると、窓ガラスを熱することで、周囲にガラスを割る際に、その音が聞こえにくくなるという。

2人が使用していたとみられるバール
2人が使用していたとみられるバール

 2023年11月以降、宮城県内ではガスバーナーとバールによる同様の手口の犯行が相次いで確認された。県警が警戒を強める中、被害箇所近くの防犯カメラの映像解析などから、犯行に使用したとみられる車が浮上。11月22日、大崎市の住宅地を低速で周回する対象車両を発見。その車が被害箇所付近の防犯カメラに映っていた車だったことから、乗っていた2人に任意で事情を聴き、入管難民法違反容疑で現行犯逮捕した。その車は愛知県内で盗まれ、被害届が出された車だったという。その後の捜査で今回の邸宅侵入と窃盗の容疑が固まり、再逮捕に至った。

 11月から12月にかけて、県内で判明した同様の手口の犯行は25件。被害総額は約7万円だが、2人が使っていた車から多数の盗品を確認されていて、警察が押収した物の中には、腕時計や貴金属、旧紙幣などがあった。警察は余罪の裏付け捜査を進めている。

警察が押収した盗品
警察が押収した盗品

全国で年々増加する「空き家」

 人口減少などを背景に全国的に増加傾向にある「空き家」

 総務省の2018年住宅・土地統計調査によると、全国の総住宅数(6242万戸)に占める空き家の割合は13.6パーセント(846万戸)と過去最も高くなっている。30年前と比べても452万戸の増加だ。

 宮城県の空き家率は、東京都や沖縄県などに続き、全国的には低いものの、その数は、年々増加している。2018年時点で、全戸数の約1割以上が空き家となっている。

空き家(画像はイメージ)
空き家(画像はイメージ)

 県によると、人口減少や少子高齢化の他に、住宅の数が総世帯数を上回り、余剰住宅が増えていることも、「空き家」増加の要因の一つではと、分析する。

 コロナ禍を経た最新の住宅・土地統計調査は来年度公開される予定で、宮城県内の空き家率はさらに増えていると見込まれる。

2人が使用していたとみられるガスバーナー
2人が使用していたとみられるガスバーナー

 こうした中、近年空き家を狙った侵入窃盗も全国的に増加傾向にあるという。警察は、被害増加の背景に、不法滞在外国人グループの可能性を指摘している。

広範囲で被害かー 対策の強化を

 警察の調べに対し容疑を認めている2人。このうち1人は、「宮城県内で30件以上やった」という趣旨の供述をしているという。県内に拠点を設けた上で、関東などを含む広範囲にわたって犯行を繰り返していたとみて、警察は裏付け捜査を進める方針だ。

 全国的な問題となっている「空き家」の増加。警察は、今後も「空き家侵入窃盗」の増加が懸念されるとしている。

 警察は被害に遭わないために、空き家の所有者に「定期的に空き家を訪問する」「金品を置かない」「地域住民との良好な関係を築く」「防犯カメラやセンサーライトの設置をする」などの対策を講じてほしいと、注意を呼びかけている。

(仙台放送)

仙台放送
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