北海道東部の別海町出身の作家・河崎秋子さんの「ともぐい」が直木賞を受賞した。

地元・別海町を始め北海道が祝福ムードに包まれている。

「ともぐい」が直木賞受賞

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「喜びの渦に巻き込まれて、地に足が着いていない状態です」(直木賞を受賞 河崎 秋子さん)

河崎さんの受賞が決まり、さっそく道内は祝福ムードに包まれた。

地元も祝福ムードに

「いつかは取ると思っていたが、こんなに早いとは」(河崎さんの同級生の別海町民)

「複数の方が手に取って購入されている。(北海道に)ゆかりのある先生が受賞したのは喜ばしい」(コーチャンフォーミュンヘン大橋店 板本 祐治さん)

一夜明け、別海町役場の電光掲示板には、朝から河崎さんの受賞をお祝いするメッセージの表示が始まった。

町では、町民栄誉賞も視野に、感謝を伝えたいとして検討している。

「町民からもいっぱい連絡がきた。私が賞をとったような喜び方だった。あきちゃん、おめでとうございます」(曽根 興三 別海町長)

「名前が出た瞬間びっくりしたが、誇らしかった。お互い忙しくなるけど頑張ろうねと会話した」(河崎秋子さんの兄 淳さん)

河崎さんならではの表現が詰まった作品

受賞した「ともぐい」は、明治期の北海道を舞台にヒグマと人間の闘いを臨場感あふれる描写で表現した物語。

「その幹に、黒い塊が張り付いていた。うねうねと動き、全身を幹にこすりつけると、それは本来の四足歩行の姿勢に戻った。間違いない、熊だった」(「ともぐい」より)

臨場感あふれる描写で表現された物語(河崎秋子『ともぐい』新潮社刊)
臨場感あふれる描写で表現された物語(河崎秋子『ともぐい』新潮社刊)

臨場感あふれる描写で表現された物語(河崎秋子『ともぐい』新潮社刊)

「この若き王者であろう赤毛の熊と対峙し、今までのどんな危機よりも濃厚に死の匂いが感じられた」(「ともぐい」より)

羊飼いをしながら執筆に取り組んだ

別海町の酪農一家で育った河崎さんは、札幌の北海学園大学を卒業後、酪農に加え羊の飼育に従事。

そのかたわらで、執筆活動に取り組んだ。

「当時は大変だったと思う。(牛の搾乳と)羊の飼育をしながら、夜中に作品を書いてという感じだったので」(淳さん)

現在は十勝在住の河崎さんならではの表現が詰まっている「ともぐい」は、14年前の作品を元に書き上げ、2022年に続き2回目のノミネートで直木賞受賞となった。

「まだ北海道で書きたいものがある。より深くより広く自分の力をつけながらまだまだ頑張っていきたい」(河崎さん)

北海道文化放送
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