自民党の派閥のパーティー券収入の一部が、議員にキックバックされ、裏金となっていた疑惑。 「派閥」に厳しい目が向けられる中、自民党は政治刷新本部を立ち上げ、16日には自民党所属の全ての国会議員を対象とする本部会議を開いた。

出席した議員たちの派閥に対する意見は様々だ。

麻生派 猪口邦子議員:派閥の解消というのが、1つの答えにはならないような気がしている。

派閥を擁護する意見が出た一方…

無派閥 和田政宗議員:派閥が問題を起こしているわけでありますから、その派閥を解消するということ、全廃するということが一番の(改革の)始まりになる。

派閥の解消を求める声もあり、両者ほぼ同じ数だったという。

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さらに裏金問題について「しゃべるな、しゃべるな」と口止めされていることをしゃべった上で、早くから安倍派の対応を批判してきた宮沢元防衛副大臣は、「安倍派を介錯する」、つまり解体を後押しする決意を示した。

安倍派 宮沢博行元防衛副大臣:これだけ同志の皆さんや、国民の皆さんに、ご迷惑をおかけしている以上、清和政策研究会(安倍派)は解散すべきである。私は派閥に残り、派閥を介錯(かいしゃく)する、安倍派を介錯する、そういう覚悟も述べさせてもらったところであります。

解体論も取りざたされる安倍派。裏金をめぐって東京地検特捜部が幹部7人を不起訴にする方針を固める中、19日に派閥の総会を開くことが明らかになった。幹部7人が出席すれば、注目されるのは確実だが、この幹部7人が不起訴になる見通しについては、自民党内でも厳しい意見が出ている。

自民党 武部新議員:今回、皆さま方が不審に思っていることの1つには、やはり会計責任者だけ(立件)なのかということもあります。

自民党 山田賢司議員:(裏金作りを)やれと言った人は誰なんだと。処分なり何なりをしていって、それを改めていかないといけない。

様々な声が上がる中、自民党内では今後の対応として、派閥の政治資金パーティーを禁止する案が浮上しているほか、閣僚の人事などで行われてきた派閥からの推薦をやめる方向で調整しているということだ。

■注目すべき3つのポイント

関西テレビ「newsランナー」コメンテーターのジャーナリスト・鈴木哲夫さんは、この刷新本部では自民党を刷新することができないと指摘。注目すべき3つのポイントを挙げた。

・派閥解消までは至らないのではないか
 ・刷新できないパッとしないメンバー
 ・ルール作りの前に裏金の説明を

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:刷新本部のやり方、メンバーも含め、今回の問題に本当に世論は怒っていますので、その目で見て、これ本当にやれるのかなっていうことがいっぱいあると思います。16日は自民党の全国会議員を対象にしたって言うけど、自民党の全国会議員って400人ぐらいいるんですよ。あんな小さな場所に入れますか?なんで大ホールでやらないの?これは石破さんも言っていました。だからそういう部分を見ても、本気なのか分からないわけですよね。

■同じ方向をみればグループはできる、そういう意味では派閥はなくならない

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:派閥解消まで至らないのではないかというのは、要するに、どんな社会でもグループができます。例えば政策に関してだってそうだし。だからこういうグループみたいなものがなくなることは、僕はないと思うんです。ただ、そのグループの中で今回問題になっているのは、派閥うんぬんじゃなくて、お金の問題。だから派閥があったにしても、お金をどうするのかという議論をしなきゃいけない。僕はグループというのは、なかなかなくならないと思います。

安倍派だけでも解体ということにはならないのか?
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:安倍派だけ解体すれば済む問題? 刷新本部でやるべきは、全部の派閥をどうするかということであって、安倍派だけの解体など、そういう意見も、僕にはパフォーマンス的なものに見えるんです。

■問題は派閥のルールではなく、説明がされていない金の流れ

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:それから刷新できないパッとしないメンバーという点について。自分の身分のことを自分で決めるとなると、絶対甘くなるわけです。だからやっぱり、岸田さんが本気だと言うのであれば、第三者に全部任せるとか、自分たちはもう長い間ずっと自民党に浸ってきたから若い人で決めてくれと言って、若い人たちで決めさせて答申を受けるとか、もっとメンバーなんとかするべきです。約30年前にリクルート事件があって政治改革をした時に、竹下元総理はその時に刷新するための会議の代表に、例えば後藤田正晴さんとか伊藤正義さんとか、そういう人たちをトップに据えたんですよ。岸田さん自分が入って、しかも顧問に麻生さんや菅さんって…

菅さんは派閥は必要ないと言っているので、鍵を握るのではないかと思うのだが?
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:だけどよく考えてください。菅さんは本当に派閥なくやってきた人だけど、無派閥っていう派閥ができるんですよ。『俺たちは無派閥だ』と言って集まったら、それは一つのグループになっているわけですよ。だから、やっぱり僕はそういうグループはできると思う。だけど大事なのは、金をどうするのかという点です。今は派閥をどうこうすると言っていますが、そもそも今回、誰がいくらキックバックされて、お金をどう使ったという説明は、何一つされてないんですよ。

安倍派の幹部7人も不起訴の方針だから、公にいつ説明するのかという問題が残されている。

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:そう。結局は捜査中ですなどとと言って、説明していません。中身の説明をしていないのに、なんでこのルールを決めるのか。そういう意味で、この刷新本部はやり方も進め方も含めて間違ってると思う。だから、本気でやれるかどうかという所は、相当厳しく見ていかないといけないと僕は思います。

こうした中、1月26日に召集される通常国会では、「政治とカネ」の問題を巡り、岸田首相出席の集中審議が開かれる見通しだ。

(関西テレビ「newsランナー」2024年1月17日放送)

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