成長が早くて「まだ着られるのに」と思いながら、泣く泣く処分することもある子ども服。長引く物価高の影響で、子ども服の有効利用・再利用「リユース」が、いま注目されている。ユニークな取り組みを取材した。

リユースのネガティブなイメージを払拭

小さなスニーカーやブランド品のおしゃれなシャツが並ぶ福岡・春日市の店舗「ポストアンドポスト」では、客から買い取った使用済みの子ども服などが販売されている。一部を除き、どれでも税込み220円だ。

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ポストアンドポスト・川村祐介さん:
細かいところを見ると表面に使用感があったり色あせが見られたりするので、こちら200円で販売しています。

「ポストアンドポスト」は、福岡市内3カ所で子ども服の大型リユース店を運営する企業が2年前にオープンしたアウトレットショップだ。厳しい基準を設ける通常店舗では販売できないものの、まだまだ着られる洋服を再流通させている。

ポストアンドポスト・川村祐介さん:
大量廃棄の問題が洋服に関してあったので。その中でも子ども服は状態がいいのに捨てられていることが多い。一方で、リユースを使っている人は2割くらいしかいない。

きれいな商品を豊富にそろえて明るい店内にすることで、リユースのネガティブなイメージを払拭(ふっしょく)し、多くの人にとってリユースが身近になることを目指している。

ポストアンドポスト・川村祐介さん:
地域やママさんたちでいろいろなものをつないで、「みんなでゴミを減らしていこう」というのが一番の目標。リユースを使うことで、家族で過ごす時間にお金を使ってもらうとか、子どもにもリユースを体験してもらうことで、これから先の環境問題の解決が進むのではと思っています。

大切に着た服と思いを次の誰かに届ける

一方、福岡・那珂川市の駅ビルでは、子ども服を持ち込むと他の人が持ち込んだモノと交換できる「おさがり交換」が可能な場所がある。

こととば那珂川・坂口麻衣子さん:
駅周辺には子育て世帯がたくさん住んでいて、公共施設でできる地域の人たちが利用できる場、そういう拠点作りができればと思って始めた。

一度に持ち込めるのは6点までで、130cmくらいのサイズまでが対象となっている。
取材した橋本アナウンサーもこの日、自ら子ども服を持ち込んだ。

テレビ西日本・橋本真衣アナウンサー:
子ども服を交換するには、駅ビルの受付に洋服を持ち込んで、汚れや縮みなどがないかスタッフに確認してもらいます。

ポイントは、次に使ってくれる人へのメッセージを洋服1枚1枚に書き添えること。

こととば那珂川・坂口麻衣子さん:
単純に服と服を替えるとかではなく、思いを届ける。洋服に込められている思いやメッセージを書いてもらうことで、書く時間にもう一回その洋服を見つめ直したり、次の誰かを思ったり。

テレビ西日本・橋本真衣アナウンサー:
誰かが大事に着ていた洋服という感じが一層、増しますね。

持ち込んだ子ども服2点につき交換チケットを1枚もらえて、気に入った洋服や小物に交換できる。利用者は、「子どもが3人いるので、みんなに新品を用意するのは難しいのでありがたい」と話す。

地域で循環させるリユースの子ども服は月に50着ほど集まるそうで、子育て世帯を中心にいま駅ビルは、様々な世代が集まる場所にもなっている。

物価高も後押しし、リユース、洋服の再利用への関心は高まっている。リユース店の市場規模は年々拡大していて、2022年は約2兆9,000億円と10年前の2倍以上に上る。今後も伸び続け、2030年には4兆円に上る予測もある。

家計に優しくSDGsにもつながる子ども服のリユース。活用してみてはいかがだろうか。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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