石川・輪島市の土砂崩れ現場。道路が寸断され、集落は孤立状態に陥っている。その集落に向け、足場の悪い斜面で支援物資を届ける隊員たちがいる。
彼らは教師やトラック運転手、介護士といった本業を持つ、即応予備自衛官だ。「イット!」は、“2つの顔”を持つ自衛官たちによる、過酷な物資輸送の現場を取材した。
命をつなぐ支援物資を孤立集落へ
陸上自衛隊が公開したYouTubeの映像。

自衛隊員が崩れた急斜面をよじ登る。背中に乗せたリュックには、孤立集落に届ける支援物資が詰まっている。

自衛隊員:
こっちもやばいね…。

足首までつかるぬかるみを歩き、崩れた土砂が行く手をふさぐ悪路を前進。ようやく孤立した地域にある避難所へとたどり着いた。
届けたのは、水やトイレットペーパーなど日用品、ガソリンなどの燃料。被災者の命をつなぐ物資だ。
土砂崩れによって電柱が折れ、道路がふさがれた輪島市内の現場。11日は、この先にある孤立集落へと向かった。

自衛隊員:
路面の状況が相当悪いので、けがをしないように。
被災住民に支援物資を届けるため、約30人の自衛隊員が投入された。物資は、海側の道から運搬された。
招集された“即応予備自衛官”
この現場に派遣されたほとんどの隊員は、普段は別の仕事をしている即応予備自衛官で、今回の地震を機に招集された。

その中の1人、南剣さん(38)は普段、輪島市内にあるパイロットなどを養成する高校で教師をしている。

即応予備自衛官 南剣さん(38):
一日でも早く復興できればと思う。高校生と一緒に潜水部で海やプールで泳いだり、日頃から体を動かしているので体力的な心配はありません。
即応予備自衛官は、一度招集されると一定期間、支援物資の輸送や救出活動などの任務に当たる。

小林幸太郎さん(37)は普段、高齢者に寄り添う介護士として勤務。災害派遣は13年前の東日本大震災以来2回目だという。

即応予備自衛官 小林幸太郎さん(37):
職場で培った介護職としての優しさを持って、災害で必要な方の支援に当たれればと思っています。
――体力的な厳しさは?
大丈夫です。

一方、トラック運転手として家族を支える山田高雄さん(39)にとっては、これが初めての災害派遣。今回の任務のために、9日間仕事を休んできたという。

即応予備自衛官 山田高雄さん(39):
人を助ける仕事に憧れていて、体を鍛えたりするようになりました。これだけの民間の方を助けることができるというのは、すごく誇りに思っています。
(「イット!」1月11日放送より)