石川県で元日に発生した震度7の大地震により、山形県の沿岸部にも41年ぶりに「津波警報」が出された。今回は車で避難した人が多くみられたが、専門家は改めて「原則徒歩での避難」を呼びかけている。
「津波警報」受け計5100人が避難
最大震度7を記録した能登半島地震。山形県の沿岸部にも「津波警報」が出された。これは1983年の青森県西方沖地震以来、実に41年ぶり。
この記事の画像(12枚)鶴岡市防災無線「津波警報が発表されました。ただちに高台に避難しなさい」
警報を受け、酒田市と鶴岡市・遊佐町は「避難指示」を出し、計5,100人が避難した。
避難した人:
地震は立っていられない感じで、しゃがんですごく長く揺れたと感じた
避難した人の中には、地域で重ねてきた避難訓練が役に立ったと話す人も。
介護施設職員:
介護施設から避難。(お年寄りたちと)全員避難してきた。避難訓練をしていたので無事に皆さん避難できた。施設が海に近いところなので今後どうなるかが心配
山形県内で大きな被害は確認されず
不安な一夜が明け、津波注意報は解除されたが、酒田市の新井田川では、津波で釣り船1隻が転覆する被害が出た。また、鶴岡市の加茂水族館では、津波警報で40人の来館者が身動きできなくなった。
加茂水族館飼育課・後藤亮太さん:
避難がどれだけ長引くか先行き不透明だったので、できる限りのことはしようと。レストランで軽食・おにぎりを提供した
おにぎりが配られたほか、携帯電話の充電器を貸し出すなど、スタッフたちができる限りの対応をしたことで、「海が目の前」という場所にも関わらず、混乱は起きなかった。
「避難指示」の解除後、自治体の職員などが一斉に被害調査を始めたが、県内で大きな被害は確認されなかった。
避難は徒歩で 車は原則NG
自治体が把握した避難者数は、「避難指示の対象者」全体の14%に当たる。そして今回多かったのが「車による避難」だった。
加茂自主防災会・高橋和雄会長:
今回はみんな寒いせいか、ほとんど車でコミセンに逃げてきたようです。手ぶらで来るというよりも車の中に暖をとれるようなものを載せてきたと思う
しかし、県が7年前に策定した「津波避難のガイドライン」では、「避難は車ではなく原則徒歩」とされている。
東北大学災害科学国際研究所・今村文彦教授:
日本海での地震は「活断層地震」で、我々が住んでいる所の近くで地震・津波が発生するので、津波到達が早い。山形も沿岸部で発生すると数分で津波が来るので、とても車は使えない
13年前の東日本大震災・当日の宮城県気仙沼市。大渋滞で車が全く動けないところ、数十分後に大津波が押し寄せた。今村教授は、足が悪いなどやむを得ない人以外は「徒歩で高台や津波避難ビルに逃げてほしい」と訴える。
東北大学災害科学国際研究所・今村文彦教授:
山形は非常に限られた時間で避難しなければならない。そのためには津波避難の意識を高めることと、沿岸部に避難ビルなど緊急の避難場所をきちんと確保することが大切
市町村が指定する「津波避難ビル」は県内に13カ所あるが、これは隣の新潟県・秋田県と比べると少ないのが現状。今村教授は、避難ビルの指定を増やすことも検討してほしいとしている。
(さくらんぼテレビ)