2024年4月10日、長崎市で枯草を燃やしていた男性に火が燃え移った。第一発見者は男性に水をかけるなどの対応にあたったが、服に火が燃え移った時、命を守るためにはどう対処すればいいのだろうか。

目の前で「人が燃えている」

目を疑うような出来事は、2024年4月10日午後、海岸にほど近い静かな住宅地で起きた。

当時の状況を語る第一発見者の男性
当時の状況を語る第一発見者の男性
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第一発見者の男性:
ほとんど全身ですよ、燃え上がって

午後2時ごろに長崎市太田尾町の住宅地で、枯れ草を燃やしていた男性に火が燃え移った。

現場に残された燃えた跡
現場に残された燃えた跡

近くを通りかかった「第一発見者の」男性は当時の様子を振り返り、「どうしたらいいか、分からなかった」と話す。

火に巻き込まれた男性はドクターヘリで搬送
火に巻き込まれた男性はドクターヘリで搬送

男性はその後迷いながらも、水をかけるなどの対応にあたった。「枯草を燃やしていた」男性は上半身にヤケドをしていて、意識がある状態で長崎市内の病院に搬送された。

野焼きに行った夫が帰らず…

長崎県内では2年前にも同じような事案が起きている。2022年10月、雲仙市の田んぼで焼死体が発見された。

野焼き(イメージ画像)
野焼き(イメージ画像)

警察によると、焼死体は近くに住む80代の男性で、男性は妻に「田んぼに野焼きに行く」と言って家を出たが、時間になっても自宅に帰ってこなかったため、心配した妻が田んぼに向かったところ、その日の夕方、田んぼで焼死体を発見。
警察は、男性が野焼きの最中に火に巻き込まれた可能性があるとみている。

着衣着火は「炊事中」に多発

ちょっとした不注意で服に火が燃え移るケースは高齢者層を中心に多く起きている。火が服に燃え移る「着衣着火」による火災は、総務省消防庁によると2022年は101人、過去5年間で501人と、年間100人前後が命を落としている。

またその理由として、「炊事中」が最も多く、次いで「喫煙中」「採暖中(たき火を除く)」「たき火」などの順になっている。(総務省消防庁:2014年~2018年までの火災報告データから抽出・集計)

コンロ奥の物を取ろうとして服に着火するケースも
コンロ奥の物を取ろうとして服に着火するケースも

炊事中の「コンロ」による着衣着火では、「首にスカーフを巻いたままコンロに火をつけたため、垂れ下がったスカーフに着火し受傷」(50代女性)「調理中に換気のため窓を開けようと手を伸ばした際に、ニット製の着衣の腹部に着火し受傷」(70代女性)などの事例があり、特に女性が食事の準備中に起こるケースが多いようだ。(東京消防庁HPより)

住宅火災の件数との関連を見ると、「天ぷら油類」は火災件数の割に死者数が少ないが、「衣類」「布団類」は死者数の割合が多くなっていて、一度火が着いてしまうと消火が難しいことがわかる。

着衣着火防止には、「着火しにくい防炎品を使うこと」や「コンロの奥に物を置かないようにする」などがポイントだ。

着衣着火した時、近くに水がない場合の対処法
着衣着火した時、近くに水がない場合の対処法

長崎市消防局は、着ている服に火が燃え移ったとき近くに水がない場合は、「火の勢いを大きくさせないよう立ち止まり」「燃えている部分を押し付けるように地面に倒れ、手で顔を覆いながら転がって消すようにしてほしい」と呼びかけている。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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