7日、イスラエル軍は、ガザ北部で多数のイスラム組織ハマス戦闘員が投降したと明らかにした。町中の路上に、パレスチナ人と見られる男性たちが下着姿で座って並ばされている映像がSNS上に上がり、世界的に物議を呼んでいる。

イスラエル軍は7日、ガザ北部で多数のイスラム組織ハマス戦闘員が投降したと明らかにした。

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公開された映像には、多くの下着姿のパレスチナ人男性が路上に座って並ばされ、トラックの荷台に詰め込まれて、移送される様子などが映されている。

イスラエルのメディアは「これらの一部は投降したハマス戦闘員だ」と伝えていて、イスラエル軍報道官は投降者について、「全員を拘束し、尋問している」としている。

一方、アラブメディアは「記者を含む多数の民間人が拘束された」と非難している。

ハマスの奇襲から7日で2カ月が経ち、ガザの保健当局は、ガザ側の死者が1万7177人になったとしている。

ここからは、取材センター室長・立石修がお伝えする。

イスラエル軍はガザ北部で多くのハマス戦闘員が投降したと発表したが、映像がSNS上に上がり、世界的に物議を呼んでいる。
拡散された映像には、町中の路上に下着姿で座って並ばされているパレスチナ人と見られる男性たちの姿が映されている。
動くことなく、下を向いて座った状態の男性たち。その先には、イスラエル軍の姿も確認できる。この映像を誰が撮影したのかは不明だが、状況からみてイスラエル軍関係者と考えられる。
映像から確認できたのは100人ほどの男性だ。イスラエルのメディアは、これらの一部は投降したハマス戦闘員だと伝えている。

そして、砂地の真ん中で50人ほどの男性が、下着姿で座らせられている画像もあった。
よく見ると、その多くが目隠しをさせられているのが分かる。手を縛られているのか、後ろに手を組み、自由がきかない状態になっているように見える。

トラックの荷台に男性達が詰め込まれ移送されていく
トラックの荷台に男性達が詰め込まれ移送されていく

さらに別の動画では、トラックの荷台に男性たちが詰め込まれ、移送されていく様子も映されている。

イスラエル軍はこれらの映像などについて、正式なコメントは出していないが、イスラエル軍のハガリ報道官は「イスラエル軍は数百人のテロ容疑者を拘束し、尋問した。彼らから得られた情報は、戦闘を継続するために利用する」としている。

ジャーナリストの被害も多発

かなり衝撃的な映像だ。ただ、先ほど「一部が」という言葉があったが、拘束されている全員がハマスの戦闘員ではないということだろうか。

拘束された男性の中には、ジャーナリストがいることが報じられ、問題となっている。
拘束されたのは、ロンドンに拠点を置く新聞ニュー・アラブに所属し、ガザ地区を拠点としている記者のディア・アル・カララートさんだ。このニュー・アラブによると、ガザ地区北部のベイト・ラヒヤという町で拘束されたという。

BBCなど欧米のメディアも大きく報じているが、SNS上には、先ほどの映像の中に、カララート記者とみられる人物が下着姿で拘束されている姿とされる写真が投稿されている。

カララート記者の妹によると、カララート記者は7歳の障害のある娘さんと一緒にいたところを引き離され、イスラエル軍に連行されたとのことだ。

ニュー・アラブの編集長は、「イスラエル軍が意図的にガザ地区のジャーナリストを逮捕し、拘束している」と批判し、即時解放を求めている。

このニュー・アラブによると、今回の衝突が始まって以後、少なくとも75人のジャーナリストが死亡したという。
さらに、この攻撃が始まって以後、ジャーナリストが取材や中継を行っている最中に、攻撃に巻き込まれる事態が頻発している。

中東のテレビ局・アルジャジーラで、ガザ地区から女性記者が生中継を始めようとしたところ、後ろで大きな爆発音が起きた。イスラエル軍によるミサイル攻撃とみられる。

またレバノンでは、記者のすぐ後ろにミサイルが落ち、炎上。記者は「ジャーナリストがイスラエル軍の攻撃の標的にされた」と主張している。

フジテレビでも、現地を取材中の加藤特派員によると、連絡を取っているガザ地区内のジャーナリストが「イスラエル軍が我々を狙っている」と話していたという。
ガザ地区の人道状況の悪化など、イスラエル軍にとって都合の悪いことを伝えると、“ハマス側と認識される恐れ”がある。そのため、連絡を取ったガザ地区のジャーナリストも、イスラエル軍に狙われることを懸念して、取材の際に顔や名前を出さない条件だったという。

実際に狙っているのか、真偽はわからないが、自宅が空爆され、家族も含めて亡くなったパレスチナ人ジャーナリストもいる。今回犠牲になっている記者の多くは、ガザ地区にいるパレスチナ人ジャーナリストたちだ。

危険なところで取材することが問題と指摘する声があるかもしれないが、自分たちの故郷でおきていることを伝えようとして犠牲になっている。極めて憂慮すべき事態だ。
(「イット!」 12月8日放送より)

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