日本三大奇祭の1つが、1000年以上の歴史に幕を下ろすことになった。
いったい何があったのか。
「さみしい」進む祭り関係者の高齢化
五穀豊穣(ほうじょう)などを願い、旧正月の日に岩手・奥州市の黒石寺で行われる「蘇民祭(そみんさい)」。
この記事の画像(12枚)凍える寒さの中、下帯姿の男たちが荒行を繰り広げる日本三大祭の1つだ。
この、みちのくの奇祭の名が一躍全国に知れ渡ったきっかけは、15年前に起きた騒動だった。
2008年の蘇民祭のポスター。濃い胸毛を蓄えたひげ面の男性が気勢を上げ、後ろではふんどし姿の男たちが密着している。このポスターが不快感を与えかねないとして、JRが駅への掲示を断ったことで注目を集めた。
1000年以上続いてきたとされる祭は、新型コロナの逆境にも負けず、2023年に3年ぶりに開催された。そんな復活したばかりの蘇民祭をめぐって12月5日、住職が驚きの発表をした。
妙見山黒石寺 藤波大吾住職:
祭りの中心を担っている関係者の高齢化、将来的な担い手不足によりまして、お祭りの執行自体をやめるという決断に至りました。
高齢化と祭りの担い手不足を理由に、2024年2月を最後に幕を閉じることになったのだ。
15年前、フジテレビが取材した際も、祭りの高齢化を目の当たりにする場面があった。
火がついた木のやぐらに登り、舞い上がる火の粉をものともせず気勢を上げていたのは、当時73歳の高齢男性だった。男性は「気分がいいですよ」と話していた。
では、祭りの担い手はどれくらい減っているのか。
2012年の蘇民祭の映像では、すし詰め状態で厄よけのお守りが入った「蘇民袋」を奪い合う男たちの姿があった。この時、約3000人の参加者が集まっていたという。
一方、2023年に行われた祭りの映像を見てみると、新型コロナの影響で、祭りのクライマックスである蘇民袋の奪い合いの中止もあり、参加者は100人ほどとなった。
祭りの関係者:
高齢化していますので、なかなか厳しい。やっぱり寂しいのは寂しいですよ。
最後の蘇民祭は、2024年2月17日に行われる。
(「イット!」12月6日放送)