JR呉線で12月4日から4日間、一部区間の列車を運休して行われた“昼間の集中工事”。夜間よりも作業員を確保しやすいうえ、安全かつ効率的に作業できるメリットがある。背景には労働人口減少の問題があった。
昼間の工事は夜間より安全で効率的
平日の昼間、道具を手に線路の真ん中を歩く作業員。線路の上を列車ではなく、トラックが走る光景も見られた。

これは、12月4日から始まった”昼間の集中工事”。
鈴木崇義 記者:
JR呉線の安浦駅近くです。線路上で枕木を交換する作業でしょうか。工事車両が止まっています

列車を運休させた状態で、線路脇の木を切ったり草を刈ったり運んだりと、さまざまな作業が集中的に行われた。

JR西日本は労働力人口の減少に伴って線路保守作業員の確保が困難となりつつある。そのため、働き方の見直しや今後のメンテナンス量を減らすための設備強化を進めている。

今回のような昼間に行う工事は、夜間の限られた時間で行うよりも集中してできる。作業効率の向上や働き方改革だけでなく、明るい時間での作業は安全性も高まるという。
11本運休に利用客「理解できる」
この工事のため、12月4日から4日間、JR呉線の竹原駅~広駅間が約7時間運休になる。

1日あたり、昼間に上下11本が運休することに利用客の反応は?
男性利用客:
日中でも全然抵抗はないですね。
運休のことを忘れていて、使うほうからしてみたら夜にやってくれたほうがいいですけど…

女性利用客:
理解できます。夜間は音もして難しいですもんね

運休中は、バスによる代行輸送が実施される。
鈴木崇義 記者:
今、JR安浦駅に代行バスが到着しました。乗客が列を作ってバスに乗り込みます

人手不足や高所作業を“機械化”で補う
労働力不足が課題となる中、少ない人手で安全に作業を行うため、JR西日本はこれまで工事の機械化・自動化を進めてきた。
その一つが、2017年に鉄道業界で初めて開発された「電柱ハンドリング車」。線路脇に必要な電柱を直接つかんで建て替えることができ、高所作業からの脱却を可能にした。

また、2021年には人力に頼っていた電柱付属部品の取り換え作業をロボットアームで行う車両を開発。人による「重量物の運搬」や「高所での準備作業」などが不要になり、作業員約4割減を実現するとしている。

JR呉線における昼間の線路設備改良工事は、2024年1月23日~25日、2月6日~8日にも実施される。

夜間工事や高所作業からの脱却…。安全性の高い昼間に作業効率を上げて行うことには利用客からも一定の理解がある。今後さらに、働き方改革、作業員の人手不足を補う機械化・自動化が進むことに期待したい。
(テレビ新広島)