熊本市の大西市長は市電の運賃の決済方法について、Suicaなどの全国交通系ICカードが、これまで通り利用できる機器に更新する方針を明らかにした。利用者の利便性を重視した形で、更新費用も国からの補助で抑えられる見込みだとしている。
「全国交通系ICを利用可能な機器に」
熊本市電の決済方法をめぐっては、2026年3月末に期限を迎える機器の高額な更新費用がネックとなり、熊本市は2024年5月に全国交通系ICカードの利用廃止の方針を発表。しかし、その後大西市長は廃止の方針の判断を先送りし、引き続き検討を行う考えを示していた。

そして11月28日、大西一史熊本市長は「市民や利用者の皆様にとっての利便性の向上と、コストの適正化を総合的に判断し、全国交通系ICカードが利用可能な機器に更新することといたしました」と述べ、熊本市電の決済方法として全国交通系ICを維持する方針を市議会で表明した。

熊本市は、現在の機器を一部安価なものにするなどして、約1億5000万円の費用で更新を行う方針だ。さらに国の補助を受けた場合、最大3分の1(約5000万円)の補助を受けられる可能性があり、当初示されていた約2億円から最大で半額程度にまでコストを抑えられる見込みだとしている。

また、熊本市は外国人を含む利用者や市電の運転士などへのアンケートで、全国交通系ICを支持する声が多かったことも、今回の方針の理由の一つとしている。
熊本市電の利用する人たちの反応は
仙台から来た人は「統一されているのが一番でしょうけど、手数料も高いというのも聞いているので、何がいいかは、それぞれの交通会社が決めるのだろうが…ひとまず安心」と話し、熊本市内に住む人も「前はSuicaを使っていたけど、今はICカードが使えるのか不安で、現金で払っていた。きょう?よかった」と話す。

また、同じく熊本市内に住む人は「バスで(全国ICが)使えなくなって、今くまモンのICカードで払っているけど、結構県外から来た人が間違っているのを見る…よかった」と話す。
熊本市電とバスなどで異なる決済手段
熊本市電は全国交通系ICの継続の方針が示されたが、一方で、熊本市電より早く更新時期を迎えた、熊本県内のバス各社と熊本電鉄では2024年11月から全国交通系ICが利用できなくなった。

決済方法をめぐり県内の公共交通機関で、足並みが揃わない形となる。大西熊本市長はこれについて、「バスに比べて、熊本市電は県外や海外から来た人が多く使うことが統計でわかっている。日常的に使っている全国交通系ICがそのまま使える」、そして「まだ使っている人がたくさんいる。そういう人が困らないようにすることが大事」と述べた。

今後も機器の更新時期のタイミングで、そのときの主流の決済方法やかかる経費を見極めて検討するという。熊本市は、次の定例議会に提出する2026年度当初予算案に、機器の更新費用などを盛り込む方針。
(テレビ熊本)
