毎年、プロ野球選手100人に独自調査を行い、打撃や投球など各部門のNo.1を選出するフジテレビ「S-PARK」の人気企画「プロ野球100人分の1位」。 

2023年も「走塁」「スピードボール」「守備」「変化球」「バットコントロール」「パワーヒッター」の6部門で調査を実施。第5弾「バットコントロール」部門は、福岡ソフトバンクホークスの近藤健介内野手(30)が26票を獲得し、3年ぶりの受賞となった。 

一流の選手たちが認めた“一流の打撃職人”。
現役選手100人に話を聞くと、そこには、プロならではの鋭い視点や、対戦相手だからこそ分かる感覚があった。 

ここでは、第4位の選手から順に振り返っていく。

第4位:4票/頓宮裕真(オリックス) 

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第4位には、パ・リーグ首位打者のオリックスバファローズ・頓宮裕真捕手(30)が4票を獲得して初のランクイン。頓宮に投票した選手はこう評価する。

「数字になるバットの出方をしていると思いますし、広角に打てるので」ソフトバンク・甲斐拓也捕手(31)

「常に塁にいるイメージ」オリックス・宮城大弥投手(22)

 プロ5年目にしてバッティングが開花し、チームのリーグ3連覇に大きく貢献した頓宮。その飛躍のきっかけになったのが、2022年まで一緒にプレーしていた吉田正尚からの助言だった。

頓宮が見せてくれたノートに書かれていたのは「正尚さんに聞いてアドバイスもらった事。ボールの内側・スピンをかけていく」という言葉。

◆頓宮の昨季今季成績比較
昨季:打率.226/本塁打11本/打点34
今季:打率.307/本塁打16本/打点49

偉大な先輩の言葉が今季の飛躍を支えていたのだった。

第3位: 19票/西川龍馬(広島) 

第3位には、5年連続ベスト5入りを果たした広島東洋カープの西川龍馬外野手(28)が19票を獲得してランクイン。

今季は2年ぶりに規定打席に到達して打率はセ・リーグ2位の.305。天才と称されるバットコントロールで赤ヘル軍団を牽引した。

西川に票を投じた選手はこう評価する。

「ボール球もヒットにされる印象が強い」阪神・大竹耕太郎投手(28)

「追い込まれても余裕があるように見える」巨人・岡本和真内野手(27)

「バットコントロールと言えばっていう」DeNA・宮﨑敏郎内野手(34)

「2ストライクに追い込んでも簡単に三振しない。ボール球でも本当にバットに当ててきて、結果を出すというか…。本当に厄介なバッターです」巨人・大城卓三捕手(30)

その言葉どおりボールゾーン打率はリーグ第2位。
◆ボールゾーン打率 (提供:データスタジアム)
1位:.248 大島洋平(中日)
2位:.238 西川龍馬(広島)
3位:.233 大城卓三(巨人)

投手のウイニングショットを仕留めるバットコントロールはもはや芸術の域。来季はオリックスに移籍する西川がパ・リーグ投手相手にどんなバッティングを見せてくれるのか、今から期待しかない。

第2位: 20票/宮﨑敏郎(DeNA) 

第2位にランクインしたのは20票を獲得した横浜DeNAベイスターズの宮﨑敏郎内野手(34)。

今季、3割打者が5人にとどまる中、他を圧倒する3割2分6厘をマーク、断トツでセ・リーグ首位打者に輝いた。
◆両リーグの今季3割打者
1位:.326 宮﨑敏郎(DeNA)
2位:.307 頓宮裕真(オリックス)
3位:.305 西川龍馬(広島)
4位:.303 近藤健介(日本ハム)
5位:.300 サンタナ(ヤクルト)

そして「461打席で43三振」と三振の少なさも12球団トップタイと、ボールを捉える技術がとにかく高い。そんな宮﨑に投票した選手はこう評価する。

「どんな球でも対応できますし」ソフトバンク・柳田悠岐外野手(35)

「自分のイメージ通りのヒットを打っているんだろうなと」日本ハム・松本剛(30)

「三振取るのが難しいバッター」中日・大島洋平外野手(38)

広島・矢崎拓也投手(28)
広島・矢崎拓也投手(28)

「結構良いところにフォーク投げたりしてたんですけど、フォークは全部見切られて、フォーク見切るから真っ直ぐ押せるかなと思っても、全部近いところでファウルとか、すごいしんどかった」広島・矢崎拓也投手(28)

さらには、宮﨑の流し打ちの技術を指摘する声も少なくない。

「際どい球もライト前に簡単に打っているように見える」阪神・佐藤輝明内野手(24)

巨人・菅野智之投手(34)
巨人・菅野智之投手(34)

「ストレートは逆方向にっていうシンプルな考え方ではあるんですけど、それをかなりの高水準で」巨人・菅野智之投手(34)

 セ・リーグの選手が舌を巻く逆方向へのバッティングは、対戦が少ないパ・リーグのピッチャーにも衝撃を与えた。

「佐々木(朗希)投手からホームラン打ってましたよね」日本ハム・田中正義(29)

ロッテ・佐々木朗希と対した6月の交流戦。159キロの速球を宮﨑の真骨頂“逆方向”へのバッティングで弾き返した打球はライトスタンドへと吸い込まれた。

宮﨑は、今季、佐々木からホームランを打った唯一の打者となった。

第1位: 26票/近藤健介(ソフトバンク) 

バットコントロール部門第1位は、26票を獲得した福岡ソフトバンクホークス・近藤健介外野手(30)が3年ぶり2度目の栄誉に輝いた。

2023年3月のWBCでは大谷翔平に繋ぐ不動の2番バッターとして打率.346、出塁率.500の成績で世界一に貢献。
日本ハムからソフトバンクへ移籍した今季はパ・リーグ2位の打率.303をマーク。さらに長打力もアップし本塁打王(26本)と打点王(87点)のタイトルを獲得した。

近藤健介を選んだ選手はこう評価する。

「抑えられるイメージが湧かない、そういうバッター」DeNA・今永昇太投手(30)

「1番きれいにヒットを打っている。お手本のようなヒットを打つなと」ロッテ・藤岡裕大内野手(30)

「全左バッターが理想としている形」楽天・小郷裕哉外野手(27)

「偉大さを敵になって改めて感じるというか」日本ハム・伊藤大海投手(26)

「味方になってよかったなと」ソフトバンク・和田毅投手(42)

「決まったと思った球でもファウルで逃げられますし…ヒットはOKくらいの感覚で配球をしていた」オリックス・森友哉捕手(28)

西武・古賀悠斗捕手(24)
西武・古賀悠斗捕手(24)

「ファウルを打つのが上手い。8球も9球も粘られてしまったらカウントも悪くなってくるじゃないですか。そうしたらもう打ち損じを狙うようになっちゃいます」西武・古賀悠斗捕手(24)

◆1打席あたりの投球数(提供:データスタジアム)
1位:4.48 近藤健介(ソフトバンク)
2位:4.34 中村晃(ソフトバンク)
3位:4.26 外崎修汰(西武) 
※パ・リーグのみ

際どい球をファウルにして甘い球を確実に仕留める近藤のスタイル。そのバットコントロールでピッチャーに最も球数を投げさせていた。

打撃パターンは「20くらいあるのでは」

受賞の盾を受け取り「現役選手に評価をしていただいて取れる賞で、毎年ひそかに狙っている賞でもありますので、うれしく思います」と笑顔を見せた近藤。

常に安定した成績を残せる理由は“打席での引き出し”の多さだ。

ソフトバンク・近藤健介外野手(30)
ソフトバンク・近藤健介外野手(30)

打撃パターン数は「20ぐらいあるんじゃないですか」という近藤は、「試合前の打撃練習で(スイングを)探しながら。きょうはこんな感じと。端から見ていたら同じスイングかもしれないですけど、自分の中では結構変えたりしています」と明かす。

その日のコンディションによって、なんと20種類ものスイングを使い分けていたのだった。

ソフトバンク・近藤健介外野手(30)
ソフトバンク・近藤健介外野手(30)

そんな近藤選手が選んだ今季のベストヒットは9月29日PayPayドームでの「西武・今井投手から打った25号ホームラン」だという。

「追い込まれながらコンタクトも大事にしつつ。思った以上に飛んでいましたし1年やってきたことが出た」という打球は、インコースのカットボールを捉えてバックスクリーンまで届かせた見事な一打だった。

西武・古賀悠斗捕手(24)
西武・古賀悠斗捕手(24)

「今までやってきたことが出た」と近藤自身が評価したこの本塁打。
目の前で見ていた西武・古賀捕手は、「その球とそのコースをセンターに持って行くっていう…しょうがないというか…諦めついちゃった」と脱帽だった。

ソフトバンク・近藤健介外野手(30)
ソフトバンク・近藤健介外野手(30)

バットコントロール部門では常連の近藤健介選手。さらに上のレベルへと進化を遂げている打撃職人の2024年の打席からも目が離せない。

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