「あしなが育英会」病気や災害で親を亡くした学生などを経済的に支援する一般社団法人。1988年の設立以来、支援した遺児は全国で約5万8000人に上る。その取り組みや奨学金の支援を受けて夢を追いかける高校生を取材した。

支援を受け夢追う高校生

学校でクラリネットの練習に励む芸術緑丘高校1年の小野真奈さん。
中学3年生だったことしの3月には、全国大会で優勝した実力の持ち主。
あしなが育英会の奨学金を活用しながら大好きな音楽を学んでいる。

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「音楽ってどうしてもお金がかかってしまうので奨学金がなかったら続いていなかったと思うので支援してくださる方々には感謝している」(小野真奈さん)

小学3年生で父と突然の別れ

真奈さんが小学3年生の時、当時43歳だった父親の正義さんがくも膜下出血で亡くなった。
突然すぎる別れだった。

真奈さんは「病気がどうこうとか、その時何もわからないし知らなかったけど、とりあえず倒れて何かあったのはわかって」と当時を振り返る。

現在は、母親の真由美さんと妹の真愛さん、弟の真義くんの4人で仲良く暮らしている。
小野さん家族が「あしなが育英会」について知ったのは真奈さんが中学3年生の時。
担任の先生が制度について教えてくれた。

母親の真由美さんは「勝手なイメージであしなが育英会は交通遺児だけだと思っていた。だからご縁がないと思っていたがその先生のメッセージで問い合わせしてみようかなと。子どもの夢が広がると思う」と話す。

学生たちが街頭で支援呼び掛け

「日本の全ての高校生が進学の夢を叶えられるようにどうかご協力、ご支援よろしくお願いします」

10月に大分市内で行われた募金活動。
あしなが育英会の奨学金を受ける学生たちが街頭で支援を呼び掛けていた。
あしなが育英会では、これまで受け取った奨学金の一部を返済していく必要があったが、より利用しやすい制度にしていこうと高校生については今年度から返済の必要がない全額給付型に切り替えた。

募金活動に参加した学生は「助け合いができたらいいと思い今回の募金に参加した」「私たちも前の先輩たちが募金活動をして集めてくれたお金で大学に通えているので笑顔でみんなが高校や大学に進めるように活動している」と話す。

困窮家庭増え申請急増…資金難も

活動資金にも深く関わっているこうした街頭活動だが、ここ数年は新型コロナの影響が大きく影を落とした。
街頭活動ができなかったり法人や団体からの寄付が減ったため、2019年には2億円以上だった寄付額が2020年は1000万円あまり、去年も7800万円ほどと落ち込んでいる。

一方、物価高などで困窮する家庭が増え、申請は急増。
高校生の希望者は今年度、過去最多の2629人となった。

しかし、その約半数は育英会の資金難が理由で奨学金が受け取れなかったという。
子どもが夢を諦めなくてもすむように…厳しい状況の中多くの支援が求められている。

(テレビ大分)

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