大分県別府市で起きた2人が死傷したひき逃げ事件は29日で3年を迎えます。
TOSでは今回、事件に巻き込まれた被害者に今の思いを聞いたほか、八田容疑者の足取りが途絶えた海側で、独自に防犯カメラなどの取材を行いました。
今から3年前の2022年6月29日。別府市野口原の交差点でバイクに乗っていた男子大学生2人が車に追突され死傷しました。
現場から逃走した八田容疑者は全国に重要指名手配され、6月2日警察は殺人容疑などを追加、事件は新たな局面を迎えています。
この日、事件現場を訪れたのは亡くなった大学生と当時一緒にいたもう1人の被害者の男性。時効の無い殺人事件となったことでようやく希望が見えてきたと話します。
被害者の男子大学生「自分の人生だが彼の人生でもある」
◆被害者の男子大学生
「やっと前進したなと感じた。 亡くなった彼にもすごく3年かかって申し訳ないという気持ちはあるし、でもこれからも捜査は当たり前に続いて行くのでそこは安心してねというふうに伝えたい」
互いに経営者になることを夢見ていた2人。しかし、1人は八田容疑者にその夢を奪われてしまいました。被害者の大学生は亡くなった友人の分まで強く生きようと前を向いています。
◆被害者の男子大学生
「彼に生かされていると思っているし彼と二人三脚で2人で肩を組みながら自分の人生だが彼の人生でもあると僕は思っているので2人の人生というか最後まで走り切りたいとは思っている」
未解決のまま、事件発生からまもなく3年…八田容疑者はどこへ逃げたのか。
事件当日、8か所の防犯カメラが八田與一容疑者の姿をとらえる
事件当日、8か所の防犯カメラにその姿がとらえられていました。
事件発生のおよそ3時間半前、八田容疑者は現場近くの商業施設で買い物をしていました。
事件直前にも同じ商業施設付近で姿が確認されています。そして、事件の直後には住宅街を走る様子が。
およそ6分後にはJR別府駅の近くを通過しました。
そして、繁華街の防犯カメラにも姿がとらえられていました。足元を見ると、裸足だったことが分かります。
およそ15分後、国道10号に出てきた八田容疑者は車が行き交う中を横切り、海の方へ。
この先にあるヨットハーバーで着ていたTシャツが発見されたものの、ここで足取りは途絶えています。
TOSは69台の防犯カメラを調査、その結果…
◆TOS児玉直輝記者
「国道を渡りこの先のヨットハーバーでTシャツを脱ぎ捨てた八田與一容疑者。TOSでは改めて周辺の防犯カメラなどを独自に調べてみました」
八田容疑者の足取りが途絶えた別府市の北浜エリア。私たちは周辺の防犯カメラを1つ1つ確認していきました。
調べたのは南北にホテルや飲食店などが建ち並ぶおよそ1.3キロメートルの範囲です。
TOSは40か所の建物に設置されたあわせて69台の防犯カメラについて所有者に、八田容疑者が映っていなかったか聞いていきました。その結果…八田容疑者の足取りを掴む決定的な映像は見つかりませんでした。しかし・・・。
◆TOS児玉直輝記者
「こちらはヨットハーバーから歩いて5分ほどの距離あるホテル街です。ここでは周辺の防犯カメラに八田容疑者によく似た裸足の男がヨットハーバーの方に向かって移動する様子が映っていたということです。」
捜査関係者「八田はどこに逃げようか迷っていた可能性がある」
八田容疑者と似た男が映っていたのはヨットハーバーから北におよそ400メートル離れた場所にある防犯カメラ。事件当日の夜、男が裸足でヨットハーバーの方に向かう姿が映っていました。
警察もこの映像を把握していて八田容疑者の可能性があるということです。
これまでの警察の発表では事件当日の午後8時ごろ国道10号を走って渡り、ヨットハーバーの方に向かう映像が八田容疑者の最後の姿でした。
今回確認出来た防犯カメラは別府タワー近くの建物に設置されています。
このことから八田容疑者は、国道を渡ったあとすぐにヨットハーバーに向かい服を脱ぎ捨てたのではなく、国道を渡ったあと北浜エリアをうろついた可能性があります。
捜査関係者は「八田はどこに逃げようか迷っていた可能性がある」と話しています。
TOSの取材の結果、北浜エリア周辺にある69台の防犯カメラに八田容疑者に似た男が映っていたのは1台だけでした。
足取りが途絶えたヨットハーバーの先には別府湾が広がっています。
警察は事件後に海の捜索も行っていますが有力な手掛かりは見つかっていません。
ここからは、事件を取材する児玉記者の解説です。
遺族「私たちの生活から八田を捜す時間をなくしたい」
◆TOS児玉直輝記者
県警は八田容疑者の似顔絵を6パターンを作成し、公開しています。
事件発生から3年となる中、手配写真と比べて現在の風貌が変わっている可能性もあるため、例えば、切れ長の目など顔の特徴を捉えておくといいかもしれません。
県警には26日までに事件に関する情報提供が1万件以上寄せられています。このうち、八田容疑者に似た人物を見たという目撃情報は9469件です。内訳を見ると、関東から寄せられたものがおよそ3割を占めています。
また20件ほどと数は少ないですが海外からの情報もあったということです。
県警では、さらなる情報提供を呼びかけようと、事件が起きた日である29日の日曜日に全国でチラシ配りを行います。
実施するのは県内では13の市と町のあわせて21か所、県外は東京、大阪、福岡など6都道府県16か所、警察官およそ150人を動員し、事件発生以来、最大規模での活動になるということです。
遺族は事件の1日も早い解決を望んでいます。
亡くなった男子大学生の母親は「あっという間に3年が過ぎようとしていて、いまだに信じられない。私たちの生活から八田を捜す時間をなくしたい」とコメントしています。