記録的な猛暑の影響で富山県産米の主力品種・コシヒカリの品質が過去最低水準となった。一方、暑さに強い県のブランド米「富富富(ふふふ)」は高い水準を維持した。デビュー6年目、猛暑で本領発揮した「富富富」の生産拡大に向けた動きを取材した。

記録的な猛暑も価格維持した「富富富」

新米が売り出されている富山市のスーパーマーケットを訪れると、県産米の約7割を占める主力品種・コシヒカリの価格が例年よりも値上がりしていた。値上げは、10kgあたりで100円から150円。率にして3%前後で、その原因の1つは2023年の記録的な猛暑だ。

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もともと、夏の暑さで白く濁るなどの品質低下を招きやすいのが課題とされてきたコシヒカリ。県内の品質をあらわす一等米比率は9月末時点で43.6%と、記録に残る1989年以降で最低となった。

猛暑の影響でコシヒカリが値上がり…
猛暑の影響でコシヒカリが値上がり…

品質の良いコシヒカリの量が例年より少なく、仕入れ価格の値上がりが店頭価格に影響している。

暑さの中「富富富」の2023年の一等米比率は95.1%
暑さの中「富富富」の2023年の一等米比率は95.1%

一方、この暑さでも販売価格が例年と変わらないコメがあった。2018年にデビューした富山県オリジナルのブランド米「富富富」だ。2023年の一等米比率は、コシヒカリの43.6%に大差をつける95.1%。高品質を維持できたことが、安定した販売にもつながっているという。

大阪屋ショップ第2商品部・中島健太課長:
富富富の評価におきましては、高温障害や暑さに強い品種なので、ことしも品質が良いと聞いているので、もっと販売を強化していかなければいけないかなと思う

「コシヒカリからの切り替えは必然的」

もともと、コシヒカリをベースに暑さに対する耐性の獲得を重視した品種改良で開発された「富富富」。デビュー後、最初の3年間は県産コシヒカリを上回る高価格帯での販売を目指し、県産米トップブランドとして、コシヒカリとの差別化が図られてきた。

その後2021年からは、将来的にコシヒカリにかわる県産米の主力品種にする方針となり、現在はコシヒカリと同等以上の価格を保ちながら、いかに生産や販売を拡大するかが課題となっている。

「富富富」戦略推進会議の様子
「富富富」戦略推進会議の様子

11月9日行われた「富富富」の生産・販売戦略を話し合う県の会議では、2024年度から5年間の戦略について、2023年の猛暑の影響を踏まえ、コシヒカリから「富富富」への切り替えの加速を求める声が相次いだ。

流通業者:
需要というのはやっぱり作るものではないかなと。高温に弱いコシヒカリから転換していくべきではないかな

農家:
このあと5年先の目標を立てるとしたら少なくとも半分以上、5年後には富富富にすると。富山はコシヒカリをやめて富富富に行くんだというのを見せるような形のことをむちゃくちゃいうが、やってもらえたら

2023年から「富富富」の作付面積を増やしたという富山市の個人農家は、温暖化で夏場の気温が上がる傾向にある中、コシヒカリから「富富富」への切り替えは必然的だと話す。

「富富富」への切り替えは必然だという
「富富富」への切り替えは必然だという

コメ農家・中島正太郎さん:
(富富富に)切り替わっていかざるを得ないのかなと思う。コシヒカリ自体、富山やここらへんの気候には厳しいということは前から言われていたので、それが現実になったというか、作る側に直面するような形になってきたのかなというのが感想

富山の“新たな主力品種”となるか

猛暑の影響でコシヒカリから「富富富」への切り替えが加速するとみられる中、販売面での課題はないのか。東京でコメの販売店を営み、全国の産地のブランド化に携わる西島豊造さんは、コシヒカリから切り替え、「富富富」を重視するということをいかに明確に打ち出すかが重要だという。

東京でコメの販売店を営む・西島豊造さん:
コシヒカリを守ろうとしている限りはポジションが違うので、右と左の違いがあるから、両てんびんにかけてはダメだと思う。両方生かそうというのは富山県の今までの経験上無理。コシヒカリを完全に割り切って富富富でちゃんとブランド化をしますよ、新しい富山を作りますよという気持ちになればできると思う

デビュー6年目を迎え、その暑さへの耐性が顕著にあらわれた2023年の「富富富」。主力品種としてコシヒカリに代わることができるか、関係者一丸となった戦略が求められている。

県農林水産部・齊藤祐三子係長:
地球温暖化を見据えて、倒伏にも強いということを含めて富富富の良いところを皆さんにことしは知ってもらえたのではないかなと思っている。富山県のコメは7割県外に行き、中京関西が多いと全農からも聞いていて、敦賀延伸もあり関西が近くなるので、関西圏などのところに、この富富富を推し出していくのは必要なことだと思っている

富山県の砺波市や南砺市の一部をエリアとした農協、JAとなみ野は、2024年産コシヒカリの作付面積を現行の7割超えから6割ほどに減らし、「富富富」など暑さに強い3品種に転換する方針をすでに固めているという。今のコシヒカリと同じように市場に受け入れられるのか、「富富富」の「今後」が注目される。

(富山テレビ)

富山テレビ
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