富山県の立山連峰のふもとで、チェーンソー1本で丸太を削り出し、かわいい動物作品を作り出している女性がいる。農業のかたわらで制作活動を行う女性を取材し、その理由や夢を聞いた。
ふるさとで農業をしながら…“もう一つの顔”
富山県の立山連峰のふもと、立山町宮路。この場所で様々な作物を育てている1人の女性を訪ねた。
谷優子アナウンサー:
こんにちは。いろいろ育てていらっしゃるんですね。
くんくんファーム・池田りほさん:
もうちょっと少ないんですけど、空心菜と、今からサツマイモを掘ろうかなと。わかります?空芯菜。
谷優子アナウンサー:
大好きです!
「くんくんファーム」の名前で、自然栽培での米や野菜作りに取り組んでいる池田りほさん。
もともとは県職員として森林の整備などの仕事をしていたが、2年前にやめ、お母さんに手伝ってもらいながら、生まれ育ったふるさとで農業の道へと進んだ。
谷優子アナウンサー:
お母さんと…ということは、おうちが農家で?
くんくんファーム・池田りほさん:
いや、農家ではなくて、家は呉服店なんですけど、どうしても畑をやりたくて。昔から自然が好きで、土を触ることや食べることも好きなので。
農作業に打ち込む池田さんには、もう一つの顔がある。
くんくんファーム・池田りほさん:
学生のころから木や木材の勉強をしていて、動物も好きなので、木を使って動物を彫ることにはまっている。
サングラスとヘルメットを装着し、両手で持つのは…チェーンソー。
池田さんがはまっているのは“チェーンソーアート”。農業の合間を見ながら、畑の横で制作活動を行っているのだ。
作品を見せてもらうと、「KUN KUN FARM」と書かれた、かわいらしいクマの木彫りが。
つぶらな瞳が印象的だが、目には畳のびょうを使っているという。
その横に置かれていた制作途中の作品を谷アナウンサーが持ち上げようとしたが...。
谷優子アナウンサー:
とてもじゃないけど、持ち上がりません!
くんくんファーム・池田りほさん:
これは今作っていて、だいぶ重いんですけど。これが、私が持てる限界。米袋よりは重たいかな。
池田さんがチェーンソーアートを始めたのは、2年ほど前。友人からの制作の依頼もあって、同じ立山山麓でチェーンソーアートを行う山中茂さんに弟子入りしたという。
これまでに、15体ほどの作品を作ってきた。
くんくんファーム・池田りほさん:
最初作った時はきれいに丸くなっちゃうんですけど、そのあとわざと荒削りをして、毛並みを表現しています。あとは、必ず木の中心をつむじにして、そこから掘っていく。あとは“背割り”といって、制作中に割れないように先に割っておく。顔が割れるよりも、背中のほうが目立たないので…。
制作済みの作品の背割り部分には、季節の花・ミントが詰められていて、作品のワンポイントになっていた。
使うのは、スギやクスノキなどの丸太や切り株。大小2つのチェーンソーを使い分けて、少しずつ動物の形に近づけていく。
作品を作る理由は…「喜んでもらえるから」
さまざまな作品を生み出している池田さん。
なぜチェーンソーアートにはまったのか、聞いてみた。
くんくんファーム・池田りほさん:
作品を見た人が、すごく喜んでくれる。最近あげた女性が、旦那さんへの贈り物として制作依頼があった。今までで一番うれしいプレゼントだって喜んでいる動画が送られてきて、泣きそうになって。「暑い中作ってよかったー」って。作っている間も楽しいんですけど、プレゼントを贈った後のエピソードもうれしくなる。母校の立山小学校にも、来年の創校50周年に合わせてプレゼントしたい。
夢は、この地域を木彫りのアートで彩ること。
きょうも、チェーンソーの音が山里に響き渡る。
(富山テレビ)