もしも小学校のクラス担任が児童の着替えを盗撮していたとしたら…。そんな“おぞましい”事件が静岡県で起きた。しかも学校側は「故意ではない」という当該教師のウソの説明を鵜呑みにし、教壇に立たせ続けていた。
学校側は教師のウソの説明を信じ…
11月15日付で懲戒免職処分となったのは静岡県東部地区の小学校に勤務する男性教師(25)だ。
この男性教師が行ったのは盗撮。それも、あろうことか担任を受け持つクラスの女児の着替え姿を、である。
この記事の画像(5枚)経緯を見ると男性教師の悪質性や学校の杜撰な危機管理体制が浮かび上がってくる。
男性教師が盗撮行為に及んだのは2023年7月19日。午前9時50分頃、男性教師は水泳の授業中に荷物を取るため一人で教室に戻った際、教室後ろに設置されているロッカーの上にあったカゴの中に自らのスマートフォンを設置した上で録画ボタンを押した。
しかし約15分後、教室で着替えをしていた女子児童が録画状態となっているスマートフォンを発見。男性教師に動画を消すよう求め、データを削除したという。
その後、男性教師は学年主任や教頭、校長に録画行為について自ら報告。その際、「故意ではない」「スマートフォンがカゴの中に入ってしまい動画が撮れてしまった」と涙ながらに訴えたことなどから、学校側は男性教師の言い分を信じ、その後も教壇に立つことを認めた。当然のことながら警察への通報や保護者への報告もしていない。
警察の取り調べを受けついに…
2日後の7月21日。当該市町の教育委員会による聞き取り調査が行われたが、この時も男性教師は故意性を否定したという。
事態が大きく動いたのは8月3日。盗撮行為について保護者が警察に相談している事実が判明する。そして8月9日、警察から聴取を受けた男性教師はようやく盗撮の事実を認めた。
県教育委員会の調べに対し、「教室内で自身が盗撮できる立場にいることに気付き『盗撮したらどうなるのだろう』という好奇心から盗撮した」と話した男性教師。
当初の説明から一転して警察による聴取で盗撮行為を認めた理由については、「『今さら言えない』『ウソをつき通すしかない』と思う一方、『ウソをついた状態で教壇に立てない』『このままウソをつき続けるのは良くない。正しくない』と思った」と口にしているという。
窃盗行為の教師も懲戒免職
このほか県教育委員会は11月16日付で、酒に酔って寝ていた男性のカバンから財布などを盗んだとして9月24日に現行犯逮捕された県立中央特別支援学校に勤める男性教師(32)も懲戒免職処分とした。
この男性教師は県教育委員会に対して「マンション、家具、家電の購入、交遊費の支出などで借金を重ねるようになった。借金の返済が苦しくなり、打開しようと株の投資や競輪を行って損失を出していた」と話した上で「泥酔して寝ている人の財布を狙うため、逮捕される10日ほど前から深夜や明け方に静岡駅や繁華街周辺を自転車や徒歩で回っていた」と“物色”していたことまで明らかにした。
2023年度の懲戒処分はこれで12件。うち免職は5件と、実に1カ月半に1人が教師の職を“解かれている”ことになる。
池上重弘 教育長は「学校教育に対する信頼を著しく失わせるものであり、社会的責任はきわめて大きく、深くお詫び申し上げます」(原文ママ)と、“いつも通り”のコメントを発出し、県教育委員会からは“いつも通り”の再発防止策が示されたが、これまでの再発防止策では不祥事を防ぎ切れていないという事実を重く受け止める必要があるのではないだろうか。
(テレビ静岡)