11月1日に発生した愛媛・大洲市戒川の山林火災では、県の防災ヘリのほか、自衛隊のヘリコプターなども出動して消火活動にあたったが、周辺には一時避難指示も出された。完全鎮火までには1週間かかり、約20haを焼失した。
この山林火災から、改めて火災への備えを考える。

火災原因「たき火」が最多

2021年に愛媛県内で起こった火災の月別の件数を見てみると、最も多いのは12月の47件だ。次いで10月が46件などとなっていて、秋から冬にかけて火災の件数は増加傾向にある。

この記事の画像(11枚)

さらに、過去5年間に愛媛県内で起こった火事の出火原因を調べると、火災の原因で最も多いのは、野焼きやゴミの焼却のための「たき火」である。

野外での焼却は、2001年の廃棄物処理法の改正で禁止となり、違反者には5年以下の懲役刑、もしくは1,000万円以下の罰金刑が科されるが、「伝統行事での焼却」「農家のわら焼き」「家庭でのたき火」などは例外とされているため、消防では注意を呼び掛けることしかできない。

火災の原因調査や予防に取り組んでいる松山市消防局予防課の客野裕幸さんに、注意する点を聞いた。

松山市消防局予防課・客野裕幸消防司令:
(たき火を)行う場合は、「1度に大量に燃やさない」「風の強い日はやめる」「しっかり消火の準備をしてから行う」ということに注意していただけたら

コードからの発火にも注意

また、私たちの身の回りにも火災のリスクは潜んでいる。

松山市消防局予防課・客野裕幸消防司令:
電気の関係による火災が多く発生しておりますので、電気製品とか器具の取り扱いには十分注意していただいたらと思います

2021年に愛媛県内で起こった火災の原因の上位は、「たき火」「こんろ・放火」「たばこ」だ。さらに、「電気機器」「配線器具」など電気関係の火災の原因は細かく分かれていて、これらを合わせると40件以上にも上り、実は火災原因の多くを占めている。
中でも特に多いのが「電灯電話等の配線」、いわゆる“コードからの発火”だ。

松山市消防局予防課・客野裕幸消防司令:
例えば束ねて使っていたりとか、重たいものの下敷きになっていたりすると、コードに負荷が掛かってそこから出火することがあります

義務化されている火災警報器の点検を

そして、この機会にぜひ点検してほしいのが、2011年に全ての住宅で設置が義務化された「住宅用火災警報器」だ。

松山市消防局予防課・客野裕幸消防司令:
設置の義務化から10年以上が経過していまして、設置をしていただいているご家庭でも故障であるとか電池切れが考えられます

実際に警報器が設置されている場合は、設置されていない場合と比べて、火災による死者数と損害額が半減するという消防庁のデータもある。警報器が火災の早期発見につながり、被害の拡大を防ぐことができる。
点検ボタンを押したり、紐式の場合は引っ張るなど、正常に動作するかどうかの点検が重要だ。

松山市消防局予防課・客野裕幸消防司令:
11月9日から全国秋の火災予防運動が始まりまして、皆さんもより一層、火災予防に対する意識を持ってもらったらと思います

「いざという時のために」小さな備えの積み重ねが安心につながる。今後、乾燥しやすい条件となるため、火災への注意が必要だ。

(テレビ愛媛)

テレビ愛媛
テレビ愛媛

愛媛の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。