宝塚歌劇団に所属する劇団員の女性が9月に転落死した問題。2006年に退団した元劇団員の東小雪(ひがし・こゆき)さんがFNNの取材に応じた。

受け継がれる厳しい上下関係 宝塚歌劇団に望むこと

元劇団員 東小雪さん:
私がこうして証言を続けているのは、自分も加害をしてしまった、加害者だったからなんです。 予科(下級生)の時は私が被害者だったんですけれども、進級して本科生(上級生)になって、新しい予科生が入ってくる時に引き継ぎがあって。今度は私が加害者になって、下級生たちを怒鳴っていた。

下級生の時は被害者だったが、進級すると「今度は私が加害者になって、下級生たちを怒鳴っていた」という
下級生の時は被害者だったが、進級すると「今度は私が加害者になって、下級生たちを怒鳴っていた」という
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取材で見えてきたのは、劇団の中で受け継がれてきた“異常”とも言える厳しい上下関係の実態だった。

マンションから転落し、死亡した劇団員の女性(当時25)。遺族の代理人は、女性が異常な長時間労働や上級生からのパワハラが原因で自殺に至ったと訴えている。上級生から下級生へ一体、どのようなことが行われてきたのか。

元劇団員 東小雪さん:
ある種の文化として、罵倒するというのがあったので私も(入学して)びっくりしました。 例えば、音楽学校の予科生でお風呂に入らせてもらえなかった、洗濯ができなかった、眠れなかった、本科生から怒鳴られた。寒い中、立ちっぱなしにさせられたりとか、挙げればきりがないんですけれども。コンクリートに膝をついて真っ赤になるまで謝り続けなければならなかったとか。

「ある種の文化として、罵倒するというのがあった」と話す東小雪さん。様々な“ルール”も
「ある種の文化として、罵倒するというのがあった」と話す東小雪さん。様々な“ルール”も

「お風呂の設備があっても入る時間が与えられない」「洗濯の設備があっても上級生から使うことを禁じられる」などのおかしなルールに従わされる日々だったという。

状況を外部に告発することはできなかったのかと尋ねると…。

「外部漏らしという概念があり、本科生(上級生)の耳に入るとののしられる」と話す
「外部漏らしという概念があり、本科生(上級生)の耳に入るとののしられる」と話す

元劇団員 東小雪さん:
「外部漏らし」という言葉というか、概念がありまして。親に言って、それが本科生の耳に入ると「お前なに外部漏らしてるんだ」と本当に口汚く怒鳴られて、ののしられてしまうんです。誰かが(外部に)言うと連帯責任になってしまうので、ますます言えない。外部漏らしは絶対にダメだということをたたき込まれるんです。宝塚は特殊だし、暴力はダメということを相談するのは本来、何の問題もないはずなのに、ある種、夢を売っている劇団員の一員であるという所属感もあるので、相談するという発想も持てないですし。

元劇団員の東小雪さんが今、宝塚歌劇団に望むことは…

「これ以上繰り返すことはしないという責任、パワーハラスメントは許さないという覚悟を私たちは持たなければならない」
「これ以上繰り返すことはしないという責任、パワーハラスメントは許さないという覚悟を私たちは持たなければならない」

元劇団員 東小雪さん:
人の命が失われてしまった。本当に遅すぎることなんです。これ以上繰り返すことはせめてしない、そういう責任を今生きている私も、過去に加担した私も、今舞台に立っている人たちも、関係者も舞台を見に行っている人も、パワーハラスメントは許さないんだという覚悟を私たちは持たないとダメだと本当に思います。

11日、外部弁護士などによる調査報告書を受け取ったと発表
11日、外部弁護士などによる調査報告書を受け取ったと発表

宝塚歌劇団側は11月11日、外部の弁護士などによる調査報告書を受け取ったと発表し、調査結果について「今後の改革の方針とあわせて、近日中にお知らせする」としている。

(「イット!」11月13日放送)

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