「ネコの島」として知られる大分県佐伯市の離島で11月3日~5日の3連休の間、ネコの健康調査が行われた。人とネコとの共生を目指して行われたこの取り組みを取材した。

「ネコの島」で健康調査

大分県佐伯市の蒲江港から船で約30分、周囲4キロほどの小さな島、深島。
島の人口は12人、そして島内には住民の数を上回る約70匹のネコが暮らしている。

そんな「ネコの島」で11月3日~5日の3連休中に行われたのが、ネコの健康調査。

この記事の画像(5枚)

「深島の地域猫の健康がどの程度のものなのかということを調査して今後の対策を立てることが今回の目的」(宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター 三沢尚明特別教授)

健康調査は宮崎大学農学部獣医学科の教授や学生、深島の島民などが行った。
ネコを捕まえて、鎮静剤を注射した上で触診や採血などをする。

「ネコに幸せに生きてもらうために」

この調査ができるのも、深島の住人がネコ1匹1匹に名前をつけ、日ごろからエサやりなどを通して愛情深く接しているから。ネコを見るだけで顔や体の特徴で判別できる。

こうしたネコとのかかわり方になったのは5年ほど前。それまでは今の約3倍の200匹ほどのネコがいて、すべてのネコを把握したりなどはしていなかったという。
しかし、2019年の冬、感染症のまん延で多くが死んでしまい、島民たちは対策を行う必要性を実感したそうだ。

深島の住人、安部あづみさんは「たくさんネコが死んでしまったときに把握ができてないというのと名前がついてない、わからないネコがいるぞっていうので、全部名前付けて把握してという感じで始まった」と話す。

島の住人に対し、はるかに多いネコの数。
「ネコに幸せに生きてもらうために」島のすべてのネコに避妊・去勢手術を行った。
また、定期的な予防接種を進めて健康管理を行ってきた。

「地域ネコ」と共生 モデルケースに

全国で「地域ネコ」との関わり方が問題となる中、深島では人と地域のネコたちが共生できるモデルケースとなることを目指している。今回の健康調査も取り組みの一つ。

宮崎大学産業動物防疫リサーチセンターの三沢尚明特別教授は「去勢避妊をして元の場所に返すだけでは、感染症や他の病気がどういうものがあるか、数がどう減っていってるのか増えているのかの情報がやはり欠落するするとなかなか地域ネコを維持していくのは難しい」と地域ネコとの共生の難しさを話す。

安部あづみさんは「殺処分が0になったり幸せな猫が増え続けるのが理想だが、人と猫が優劣なくお互い様で生きていけるといいなと思う」と話している。

人もネコも幸せに暮らす…そんな理想の実現に向けた取り組みが小さな島で進められている。

(テレビ大分)

テレビ大分
テレビ大分

大分の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。