無数のピンク色の粒が、暗い海の中をゆらゆらと漂う——奄美大島の海中で、神秘的なサンゴの一斉産卵が撮影された。2024年の高水温による白化現象で多くのサンゴが死滅した海域での出来事だけに、関係者は「再生の第一歩」と喜びをにじませる。
3種類のサンゴが次々とバンドルを放出
6月4日の夜、奄美大島・瀬戸内町の大島海峡、水深4メートルの場所でその光景は捉えられた。直径わずか0.5ミリほどの粒が無数に漂うその映像。粒の正体は、卵と精子が一緒に詰まった「バンドル」と呼ばれるものだ。バンドルは海面に達するとはじけ、他の卵や精子と受精する仕組みになっている。

この日はオトメミドリイシやクロマツミドリイシなど3種類のサンゴが、次々とバンドルを放出した。サンゴの産卵は8月末まで続く見込みだという。
白化被害を乗り越え、回復への期待
奄美大島周辺の海域では2024年の夏、高水温の影響でサンゴの白化現象が発生し、多くのサンゴが命を落とした。そうした背景があるなかでの一斉産卵の撮影となった。

一斉産卵を撮影した奄美海洋生物研究会の興克樹会長は、「再生の第一歩としては産卵、そこから幼生が海に漂う。ダメージを受けたサンゴ礁に定着して成長していくので、再生の第一歩に立ち会えたのは非常に喜ばしい」と話す。
さらに興会長は「小さなサンゴが定着して、すくすくと育っていけば、以前のようなサンゴ礁の景観が見られると期待している」と、回復への希望を語った。

白化被害で傷ついた奄美の海が、小さな命の誕生とともに、ゆっくりと再生へと歩み始めている。
【動画で見る▶【撮影成功】奄美の海でサンゴの一斉産卵 神秘的風景と再生への期待 】
