大きな屋根が特徴的なある建物。50年以上前に日本中が熱狂した、イベントのために造られ、今は、地域で愛される、自治会館として使われている。

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住宅街にそびえたつ、高さ12メートルを超える、黄色いトンガリ屋根。町の自治会館らしくないデザインだが、11月3日に地域の「文化祭」が行われた。 1970年に開催された大阪万博。実はこの自治会館、その数あるパビリオンのひとつ、「カンボジア館」だったのだ。その内部は今、ワンフロアに改修され、地域の人たちが、毎日、さまざまな活動に利用している。

床は、張り替えられたが、カンボジアの世界遺産・アンコールワット遺跡の写真パネルや王家の紋章のレリーフ等、万博で展示されていたものも、数多く残っている。

10年以上利用する住民:
いつも響くから、気持ちよく練習させていただいて、だから、ここで演奏するならいいけど、よそ行ったときにびっくりする。

40年以上利用する住民:
なくてはならないもの。ここが広陵町の中心。

万博の翌年、新しく造られる、街のシンボルにするため、大阪から神戸に移された、パビリオン。 50年がたち、建て替えの話も出たが、6年前に約2700万円をかけ、建物を補修し、瓦も特注してふき替えした。

広陵町自治会長 田中收さん:
改修するときに自治会の総会開いて、反対意見はゼロ。で、いいものにしていただきたいという要望はあった。そういう意味でいうと、みんな誇りに思っています。

神戸とカンボジアの架け橋に

パビリオンは、自治会館に生まれ変わったが、今も神戸とカンボジアの架け橋になっている。 文化祭では、毎年、カンボジアの孤児院の子供たちから絵を送ってもらい、飾ることにしている。さらに、日本に住むカンボジアの留学生も参加し、住民たちと交流した。

留学生・イム チャンレ アクスマイさん(24):
この屋根を最初に見たときに、(カンボジアの)お寺を思い出しました。わたしの故郷でも、お寺があるんだけど、みんなそこで集まるのよ。

留学生・リム サーシャさん(29):
この建物をこのように残していくのは、日本とカンボジア両国の友好にとって非常に大切です。この建物があることで、日本にもカンボジアの文化を紹介することができます。

広陵町自治会長 田中收さん:
『カンボジア館』だったということを思い出してもらうため、(留学生を)呼んだり、つながりが切れないように一生懸命やっている。(パビリオンが)あと、100年もつか分かりませんが、最終的には文化財になればうれしいと思っています。

万博のために造られたパビリオンは、世代を超え、国を超え、これからも人と人とをつないでいく。

(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月3日放送)

関西テレビ
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