福島県郡山市で行われている、一風変わった伝統行事。「ここに嫁いできたときは”えっ!?”って」「最初はちょっと抵抗あった」と地区の人も最初は困惑したという驚きの行事を取材した。
地蔵をバッカンバッカン
「家にバッカンバッカンってぶつけたこともあるし。たまげたもんね。今そんなことしたら、家壊れっちまう」と地元の高齢女性が話すのは、福島県郡山市安積町笹川地区で江戸時代から続く「笹川のあばれ地蔵」という伝統行事。

なんと地面に打ち付けていたのは木彫りの地蔵。天性寺の木町元秀住職は「このお地蔵さんを地面につくことによって、土地に住む悪い疫病や悪霊を退散するという」と説明してくれた。

打ち付けて疫病退散・豊作祈願
この伝統行事は毎年11月2日に行われ、寺に安置されている木彫りの地蔵の頭にお神酒をかけたあと、かけ声に合わせて地蔵を地面に3回打ち付け疫病退散や豊作などを願う。

それにしても、地面に地蔵を打ち付けて罰は当たらないのだろうか?住職によると「罰は当たるのではなく、みなさんを守ってもらうために自分の身を削ってらっしゃるわけです」

「それほど激しく家に打ち付けたりすることによって、多くの疫病とか病気とかを追い払うという意味合いもあったわけでございます」という。

地域の絆を深めるお地蔵さん
かつては地区の子どもたちが一軒一軒回って地蔵つきを行っていたというが、少子化やコロナの影響で年々規模が縮小。

しかし保存会のメンバーを中心に、コロナ禍でも伝統絶やさず続けてきたという。地元の子どもは「なんか少しお地蔵さんも可愛そうな気もしますけど、鬼を退治できるならそれでいい」と話す。

笹川あばれ地蔵保存会の石部政男さんは「せっかくある伝統行事で3世代繋がって、隣りの人と繋がってる、こういう行事をやはり続けていきたい」と語った。

疫病や災いから地域を守る“あばれ地蔵”は、住民同士の絆を深める存在でもあった。
(福島テレビ)