大雨によって「ため池」が決壊すると、下流にある住宅などに大きな被害を及ぼす。その「ため池」の決壊を防ぐ、自然の力を利用した新たな対策の研修会が山形市で開かれた。
約200カ所で決壊のおそれ
10月27日、山形市の「農業用ため池」で行われた研修会には、山形県内にあるため池の管理者など約40人が参加した。
この記事の画像(10枚)県内にはため池が約1,100カ所あり、県によるとそのうち約200カ所は「2022年8月の豪雨と同じ規模の雨が降った場合、決壊するおそれがある」とみられている。
新たな対策「サイホン現象」とは?
27日の研修会では、ホース1本さえあれば、ため池の水を安全に下流に流すことができる「サイホン現象」を活用した新たな対策が紹介された。
「サイホン現象」とは、2つの水たまりをホースでつないでホースの中を水で満たすと、2つの水位が同じになろうとする現象。
バケツリレーでホースの中を水で満たし、下流のバルブを開けると、ため池よりも水位が5メートルほど低いため、サイホン現象でエンジンなどの動力を使わなくても下流側に自然と水が流れ続ける。流れる水の量は1時間に約42トン。25メートルプールを9時間でいっぱいにできる量だ。
県農村整備課 佐々木朗課長補佐:
エンジンや動力がなくても、自然の水位の差によって上流の水を下流に流せる。しかも人が常にそこにいる必要もなく、24時間、自然の力で水を抜くことができる点が大きなメリット
ため池の決壊防止に有効なこの取り組み。県は今後も研修会を開いて周知していく方針だ。
(さくらんぼテレビ)
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