10月25日は「世界パスタデー」。
今から28年前、イタリアの首都ローマで「第1回世界パスタ会議」が開催されたことを記念して制定されたという。
そんなイタリア発祥のパスタが、いま日本で独自に進化している。
「よりおいしいパスタを食べてもらいたい」と、ナナメ上な発想から生まれた唯一無二のパスタを生み出すお店が、続々と登場。
「麺へのこだわりがナナメ上なパスタ店」をはじめ、「出てくるスピードが早すぎるパスタ店」「全部パスタのフルコースのパスタ店」「ツッコミどころ満載のパスタ店」など、想像よりも“ナナメ上”な「パスタ店」を取材した。
SNS映えパスタ3選
埼玉県熊谷市にある「cafe & dining carpe diem(カルペディエム)」。
この店が生み出したのは、ふわふわクリームのエスプーマ(スペイン語で「泡」)が全体にかかった、めんたいこパスタ。
この記事の画像(28枚)見た目はまるでスイーツのようだが、甘さ控えめなクリームとめんたいこの塩味が絶妙にマッチした一品となっている。
そして、兵庫県西宮市にある「ONS ROASTER COFFEE(オンズロースターコーヒー)」が生み出したのは、その名も「肉ボナーラ」。
カルボナーラの周りを囲むのは、自家製のローストビーフ100グラム。
しっとり柔らかなローストビーフでパスタを包んで食べるという、何ともぜいたくなパスタだ。
佐賀県吉野ヶ里町にある「薪窯ピッツァFeliche(フェリーチェ)」はハロウィーンに向け、北海道産のカボチャを丸ごと1個使用したクリームパスタを考案。
500度のまき窯で丸ごと焼き上げたカボチャの中には、カボチャのクリームパスタと、とろっとろのチーズがたっぷり。
自家製のカボチャポタージュクリームの濃厚さがたまらない一品となっている。
一方で、味や見た目ではなく、ちょっと独特なこだわりをもつパスタ店もあった。
出てくるスピードが早すぎるパスタ店
東京・文京区にあるペペロンチーノ専門店「東京ペペロンチーノ」がこだわるのは、提供スピードだ。
18種類のペペロンチーノが楽しめるこの店は、パスタ店には珍しい“立ち食いスタイル”を採用している。
「立ち食いそばみたいなスピード感を目指している」という、ありそうでなかった「立ち食いパスタ」。
果たしてその提供スピードとは。
調査員がパスタを注文すると、わずか35秒でパスタが出てきた。
肝心の味は「魚介のだしが効いていて、すごくおいしいです」と調査員。
35秒で提供されたとは思えないほどの本格派。
それにしてもどうしてこんなに早く提供することができるのか。
実はこの店は、お客さんの来店と同時にソースを温めはじめ、注文を受けてから、あらかじめゆでておいたパスタを15秒ほど湯がき、ソースとあえるだけにしているという。
ちなみに、セットでついてくるライスは残ったソースに浸して、リゾット風にいただくのがおすすめだ。
さらに変わった進化を遂げているパスタ店もあった。
麺へのこだわりがナナメ上なパスタ店
名古屋市西区にある「Craft & Bistro bar ichika(クラフト&ビストロバル イチカ)」。
店内はウッド調のテーブルやイスが並んだ、アットホームな雰囲気となっている。
早速、調査員はパスタを注文。
すると運ばれてきたのは、こだわりがナナメ上すぎるパスタだった。
麺1本と思いきや、なんと出てきたのは1枚。
フェイスタオルほどの幅がありそうな、超ワイドなパスタがこの店名物の「一枚麺のカルボナーラ」。
こんなパスタ、見たことない。
フォークでは持てないため、箸で麺を持ち上げようとするも、かなりの重さだ。
調査員がどうやって食べればいいのかとまどっていると、店長の佐々木一哲さんが「フォークとナイフで切り分けて食べても大丈夫です」と声をかけてれくれた。
ということで、早速フォークとナイフで実食すると、「モチモチの食感がクセになるかもしれないです」と調査員。
濃厚なカルボナーラソースと独特な食感がクセになる一品だ。
しかし、結局カットして食べるなら、この大きさじゃなくてもいいのではとも思ってしまう。
店長の佐々木さんは「みんなの目を引く料理を作りたくてできたのがカルボナーラです」と話す。
「インパクトのある料理を作りたい」と、ラザニアを使ってカルボナーラに仕立てたといい、他店にはない弾力とモチモチ感を演出することができたという。
ちなみに、この超ワイドな麺を使ったパスタは、カルボナーラとアラビアータの2種類。
気になった人は要チェックだ。
続いては、バリエーションにとことんこだわるパスタ店。
全部パスタのフルコースのパスタ店
名古屋にある「PASTAMANIA(パスタマニア)」。
店名からしてこだわりを感じるが、店内へ入ると、オープンキッチンのカウンターがあり、調理している様子を眺めながら食事を楽しめる、上質な空間が広がっている。
ランチタイムには、国産和牛と隠し味に八丁味噌を使用した一番人気の「和牛ボロネーゼ」(1820円)や、白ワインとウニ2箱分が入ったぜいたくなソースで味わう「生ウニのトマトクリームソース」(2220円)など、53種類のパスタと、12種類のトッピングを楽しむことができる。
確かにバリエーション豊富ではあるが、ナナメ上なのはディナータイムになってからだ。
午後6時になると、お店は会員制になる。
ディナーメニューの「パスタ懐石」と呼ばれる「8品コース」と「10品コース」2種類がナナメ上なのだという。
調査員は少しでも多く品数を味わいたく「10品コース」を注文。
どんなコースが登場するのか。
まず、一品目は「柚子胡椒の冷製カッペリーニ」。
ワインビネガーなどでマリネしたサンマと冷製パスタを混ぜていただく。
続く、二品目はウニの濃厚な味わいが口いっぱいに広がる、ランチでも人気のパスタ「生うにのクリームソース」。
ピリ辛で作られたソースがクセになるという。
その後も、生こしょうソースのカッペリーニに、白子を生ハムで包んでソテーしたものを添えた料理、「スパゲティジェノベーゼ アカエビの炭火焼き添え」など、ここまで6品全てパスタが主役の料理だ。
そして「本日のスープ」。
まさか、と思っていると、スープの中にも細かく刻んだパスタを発見。
これには思わず「全品パスタですか?」と驚いた調査員が質問。
すると、シェフの岨泰宏さんが「こちらのコースは全てパスタでできあがったコースです」と説明。
「いろんな種類をたくさん食べられたらいいな」という思いから前菜からメイン、そしてデザートまで10品全てがパスタだという。
そしてメインは、タリアテッレという平打ちの麺で作った「和牛ボロネーゼ」。
ランチとはパスタの種類が異なるという。
隣に添えられているのは、炭火で調理した北海道産牛ヒレ肉のステーキ。
だが、主役はあくまでパスタ、ステーキは付け合わせだという。
そして、最後のデザート「クリームチーズのラビオリ」も、もちろんパスタだ。
詰め物をするタイプのパスタ「ラビオリ」の中には、ラム酒・シナモンで煮た柿とクリームチーズが入った、絶品デザートとなっている。
結局、この日は1時間50分で計10皿のパスタを完食。
調査員は「一生分のパスタを食べた気がします」と満足な様子だった。
全て絶品のパスタで構成されたフルコース。
気になった方はぜひ一度、味わってみては。
続いてはツッコミどころ満載のパスタ店。
侍が店長のパスタ店
大阪・心斎橋の雑居ビルの3階にある「ペペロンチーノ」。
店に入るとツッコミがいがある格好で向かえてくれたのが、店主の後藤“またべぇ”隆博さんだ。
なぜ侍の格好をしているのか。
その理由を聞いてみると「逆になぜみなさんが侍の格好をしてないのか、問う!ぐらいな感じで思っております」と、逆に問われてしまった。
そんな侍のまたべぇさんだが、こう見えて本格フレンチやイタリアンレストランなどで約12年間シェフを務めた後、11年前にこの店をオープンした、確かな腕をもつ料理人だ。
またべぇさんがこだわって作ったというのが、名物の「“キングオブペペロンチーノ 極み”」。
パスタにしてはたっぷりめなスープに麺が浸っているという、斬新なスタイルのペペロンチーノだ。
少し雑な感じにふりかけられている赤いのは「タカノツメパウダー」。
辛そうに見えるが、調査員が食べてみると「そこまで辛くなく、麺もやわらかくておいしいですね」とのこと。
こだわりポイントを聞くと「アルデンテにこだわっていない」ことだといい、「うちは喉ごしよく、スルリと食べていただけるように“シメパスタ”、ラーメンと言っても過言ではないです」と、パスタをラーメンと言ってしまう、またべぇさん。
ちなみに店名は「ペペロンチーノ」だが、パスタメニューは、他にもカルボナーラやナポリタンなど全7種類ある。
そして、一番気になるのが、またべぇさんのいでたち。
幼い頃から時代劇を見て侍に憧れ、店を開いて1年後に侍になろうと決断。
以来10年間、侍になりきり、ちょんまげも地毛だという。
そんな侍が切り盛りするパスタ店、興味がある方はぜひ、訪れてみてはいかかでしょうか。
(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年10月24日放送)