10月25日は「世界パスタデー」。

今から28年前、イタリアの首都ローマで「第1回世界パスタ会議」が開催されたことを記念して制定されたという。

そんなイタリア発祥のパスタが、いま日本で独自に進化している。

「よりおいしいパスタを食べてもらいたい」と、ナナメ上な発想から生まれた唯一無二のパスタを生み出すお店が、続々と登場。

「麺へのこだわりがナナメ上なパスタ店」をはじめ、「出てくるスピードが早すぎるパスタ店」「全部パスタのフルコースのパスタ店」「ツッコミどころ満載のパスタ店」など、想像よりも“ナナメ上”な「パスタ店」を取材した。

SNS映えパスタ3選

埼玉県熊谷市にある「cafe & dining carpe diem(カルペディエム)」。

この店が生み出したのは、ふわふわクリームのエスプーマ(スペイン語で「泡」)が全体にかかった、めんたいこパスタ。

埼玉・熊谷市「cafe & dining carpe diem」ふわふわ明太子のクリームパスタ1449円
埼玉・熊谷市「cafe & dining carpe diem」ふわふわ明太子のクリームパスタ1449円
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見た目はまるでスイーツのようだが、甘さ控えめなクリームとめんたいこの塩味が絶妙にマッチした一品となっている。

そして、兵庫県西宮市にある「ONS ROASTER COFFEE(オンズロースターコーヒー)」が生み出したのは、その名も「肉ボナーラ」。

兵庫・西宮市「ONS ROASTER COFFEE」肉ボナーラ1990円
兵庫・西宮市「ONS ROASTER COFFEE」肉ボナーラ1990円

カルボナーラの周りを囲むのは、自家製のローストビーフ100グラム。

しっとり柔らかなローストビーフでパスタを包んで食べるという、何ともぜいたくなパスタだ。

佐賀県吉野ヶ里町にある「薪窯ピッツァFeliche(フェリーチェ)」はハロウィーンに向け、北海道産のカボチャを丸ごと1個使用したクリームパスタを考案。

佐賀・吉野ヶ里町「薪窯ピッツァFeliche」丸ごと!カボチャチーズクリームベーコンパスタ1800円
佐賀・吉野ヶ里町「薪窯ピッツァFeliche」丸ごと!カボチャチーズクリームベーコンパスタ1800円

500度のまき窯で丸ごと焼き上げたカボチャの中には、カボチャのクリームパスタと、とろっとろのチーズがたっぷり。

自家製のカボチャポタージュクリームの濃厚さがたまらない一品となっている。

一方で、味や見た目ではなく、ちょっと独特なこだわりをもつパスタ店もあった。

出てくるスピードが早すぎるパスタ店

東京・文京区にあるペペロンチーノ専門店「東京ペペロンチーノ」がこだわるのは、提供スピードだ。

東京・文京区「東京ペペロンチーノ」
東京・文京区「東京ペペロンチーノ」

18種類のペペロンチーノが楽しめるこの店は、パスタ店には珍しい“立ち食いスタイル”を採用している。

「立ち食いそばみたいなスピード感を目指している」という、ありそうでなかった「立ち食いパスタ」。

果たしてその提供スピードとは。

調査員がパスタを注文すると、わずか35秒でパスタが出てきた。

肝心の味は「魚介のだしが効いていて、すごくおいしいです」と調査員。

35秒で提供されたとは思えないほどの本格派。

それにしてもどうしてこんなに早く提供することができるのか。

実はこの店は、お客さんの来店と同時にソースを温めはじめ、注文を受けてから、あらかじめゆでておいたパスタを15秒ほど湯がき、ソースとあえるだけにしているという。

ちなみに、セットでついてくるライスは残ったソースに浸して、リゾット風にいただくのがおすすめだ。

さらに変わった進化を遂げているパスタ店もあった。

麺へのこだわりがナナメ上なパスタ店

名古屋市西区にある「Craft & Bistro bar ichika(クラフト&ビストロバル イチカ)」。

名古屋市「Craft & Bistro bar ichika」
名古屋市「Craft & Bistro bar ichika」

店内はウッド調のテーブルやイスが並んだ、アットホームな雰囲気となっている。

早速、調査員はパスタを注文。

すると運ばれてきたのは、こだわりがナナメ上すぎるパスタだった。

麺1本と思いきや、なんと出てきたのは1枚。

フェイスタオルほどの幅がありそうな、超ワイドなパスタがこの店名物の「一枚麺のカルボナーラ」。

こんなパスタ、見たことない。

フォークでは持てないため、箸で麺を持ち上げようとするも、かなりの重さだ。

調査員がどうやって食べればいいのかとまどっていると、店長の佐々木一哲さんが「フォークとナイフで切り分けて食べても大丈夫です」と声をかけてれくれた。

ということで、早速フォークとナイフで実食すると、「モチモチの食感がクセになるかもしれないです」と調査員。

濃厚なカルボナーラソースと独特な食感がクセになる一品だ。

一枚麺のカルボナーラ1680円
一枚麺のカルボナーラ1680円

しかし、結局カットして食べるなら、この大きさじゃなくてもいいのではとも思ってしまう。

店長の佐々木さんは「みんなの目を引く料理を作りたくてできたのがカルボナーラです」と話す。

「インパクトのある料理を作りたい」と、ラザニアを使ってカルボナーラに仕立てたといい、他店にはない弾力とモチモチ感を演出することができたという。

一枚麺のアラビアータ1680円
一枚麺のアラビアータ1680円

ちなみに、この超ワイドな麺を使ったパスタは、カルボナーラとアラビアータの2種類。

気になった人は要チェックだ。

続いては、バリエーションにとことんこだわるパスタ店。

全部パスタのフルコースのパスタ店

名古屋にある「PASTAMANIA(パスタマニア)」。

名古屋市「PASTAMANIA」
名古屋市「PASTAMANIA」

店名からしてこだわりを感じるが、店内へ入ると、オープンキッチンのカウンターがあり、調理している様子を眺めながら食事を楽しめる、上質な空間が広がっている。

ランチタイムには、国産和牛と隠し味に八丁味噌を使用した一番人気の「和牛ボロネーゼ」(1820円)や、白ワインとウニ2箱分が入ったぜいたくなソースで味わう「生ウニのトマトクリームソース」(2220円)など、53種類のパスタと、12種類のトッピングを楽しむことができる。

和牛ボロネーゼ1820円
和牛ボロネーゼ1820円

確かにバリエーション豊富ではあるが、ナナメ上なのはディナータイムになってからだ。

午後6時になると、お店は会員制になる。

ディナーメニューの「パスタ懐石」と呼ばれる「8品コース」と「10品コース」2種類がナナメ上なのだという。

調査員は少しでも多く品数を味わいたく「10品コース」を注文。

どんなコースが登場するのか。

まず、一品目は「柚子胡椒の冷製カッペリーニ」。

柚子胡椒の冷製カッペリーニ 秋刀魚軽いマリネ
柚子胡椒の冷製カッペリーニ 秋刀魚軽いマリネ

ワインビネガーなどでマリネしたサンマと冷製パスタを混ぜていただく。

続く、二品目はウニの濃厚な味わいが口いっぱいに広がる、ランチでも人気のパスタ「生うにのクリームソース」。

生うにのクリームソース フルーツトマトのカプレーゼ
生うにのクリームソース フルーツトマトのカプレーゼ

ピリ辛で作られたソースがクセになるという。

その後も、生こしょうソースのカッペリーニに、白子を生ハムで包んでソテーしたものを添えた料理、「スパゲティジェノベーゼ アカエビの炭火焼き添え」など、ここまで6品全てパスタが主役の料理だ。

そして「本日のスープ」。

まさか、と思っていると、スープの中にも細かく刻んだパスタを発見。

これには思わず「全品パスタですか?」と驚いた調査員が質問。

すると、シェフの岨泰宏さんが「こちらのコースは全てパスタでできあがったコースです」と説明。

「いろんな種類をたくさん食べられたらいいな」という思いから前菜からメイン、そしてデザートまで10品全てがパスタだという。

そしてメインは、タリアテッレという平打ちの麺で作った「和牛ボロネーゼ」。

ランチとはパスタの種類が異なるという。

和牛ボロネーゼ タリアテッレ 国産牛ステーキ添え ※ランチとは別の種類のパスタ
和牛ボロネーゼ タリアテッレ 国産牛ステーキ添え ※ランチとは別の種類のパスタ

隣に添えられているのは、炭火で調理した北海道産牛ヒレ肉のステーキ。

だが、主役はあくまでパスタ、ステーキは付け合わせだという。

そして、最後のデザート「クリームチーズのラビオリ」も、もちろんパスタだ。

クリームチーズのラビオリ バニラアイス添え
クリームチーズのラビオリ バニラアイス添え

詰め物をするタイプのパスタ「ラビオリ」の中には、ラム酒・シナモンで煮た柿とクリームチーズが入った、絶品デザートとなっている。

結局、この日は1時間50分で計10皿のパスタを完食。

調査員は「一生分のパスタを食べた気がします」と満足な様子だった。

パスタ懐石(10品コース)
パスタ懐石(10品コース)

全て絶品のパスタで構成されたフルコース。

気になった方はぜひ一度、味わってみては。

続いてはツッコミどころ満載のパスタ店。

侍が店長のパスタ店

大阪・心斎橋の雑居ビルの3階にある「ペペロンチーノ」。

大阪・心斎橋「ペペロンチーノ」
大阪・心斎橋「ペペロンチーノ」

店に入るとツッコミがいがある格好で向かえてくれたのが、店主の後藤“またべぇ”隆博さんだ。

なぜ侍の格好をしているのか。

ペペロンチーノ店主 後藤“またべぇ”隆博さん
ペペロンチーノ店主 後藤“またべぇ”隆博さん

その理由を聞いてみると「逆になぜみなさんが侍の格好をしてないのか、問う!ぐらいな感じで思っております」と、逆に問われてしまった。

そんな侍のまたべぇさんだが、こう見えて本格フレンチやイタリアンレストランなどで約12年間シェフを務めた後、11年前にこの店をオープンした、確かな腕をもつ料理人だ。

またべぇさんがこだわって作ったというのが、名物の「“キングオブペペロンチーノ 極み”」。

キングオブペペロンチーノ 極み 1320円
キングオブペペロンチーノ 極み 1320円

パスタにしてはたっぷりめなスープに麺が浸っているという、斬新なスタイルのペペロンチーノだ。

少し雑な感じにふりかけられている赤いのは「タカノツメパウダー」。

辛そうに見えるが、調査員が食べてみると「そこまで辛くなく、麺もやわらかくておいしいですね」とのこと。

こだわりポイントを聞くと「アルデンテにこだわっていない」ことだといい、「うちは喉ごしよく、スルリと食べていただけるように“シメパスタ”、ラーメンと言っても過言ではないです」と、パスタをラーメンと言ってしまう、またべぇさん。

ちなみに店名は「ペペロンチーノ」だが、パスタメニューは、他にもカルボナーラやナポリタンなど全7種類ある。

そして、一番気になるのが、またべぇさんのいでたち。

幼い頃から時代劇を見て侍に憧れ、店を開いて1年後に侍になろうと決断。

以来10年間、侍になりきり、ちょんまげも地毛だという。

そんな侍が切り盛りするパスタ店、興味がある方はぜひ、訪れてみてはいかかでしょうか。

(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年10月24日放送)