9月から干ばつの被害が続くブラジル。
ひび割れた地面…干上がった川に残された船。人々が歩いているのは、かつての川底です。
インドネシアでは、森林火災が多発。現時点で、2022年の1年間に焼失した面積を上回っています。
マレーシアのクアラルンプールでは、インドネシアの火災による煙がマレーシアまで到達し、大気汚染が問題に…。
これらの被害の原因といわれているのが、エルニーニョ現象です。
エルニーニョ現象とは、太平洋の中部から南米ペルー沖にかけて、海面の水温が基準値よりも0.5℃上がる現象で、世界中の異常な天候の要因となり得ると考えられています。
さらに今年は、その上、 “スーパーエルニーニョ現象”が起こる可能性が指摘されています。
2015年に発生した際は、アメリカで7日連続で竜巻を観測、12月だけで20人の死者を出しました。
イギリスでは、過去100年以上の期間で12月の降水量が最多になる地域も出るなど、記録的な豪雨による洪水が発生するなど、世界に大きな影響を与えた「スーパーエルニーニョ現象」。
今年の冬はいったい何が起こるのか、天達武史気象防災キャスターが詳しく解説します。
10年に一度の著しい高温
気象庁は10月23日、「10年に一度程度しか起きないような、著しい高温となる可能性が高まっている」と発表。北海道と東北は、30日から高温になるとみられています。
――スーパーエルニーニョは、エルニーニョより海面水温が1℃以上高くなるということですが、これはどれほどの違いがあるのでしょうか？
天達気象防災キャスター:
海面というのは気温みたいにすぐは上がらないので、海面水温が1℃上がるということは、気温にすると5℃から10℃くらいの変化なんです。しかも海の温度が上がるということは、水蒸気が増えるので、雨雲がそのエリアで発達しやすくなります。いつもよりも雨雲が発達し、台風などができてしまうと、遠く離れた日本にも異常気象をもたらすということで、いつもは起こらない現象が起こるといわれています。
前回、スーパーエルニーニョ現象が起こった2015年、日本では12月にもかかわらず、半袖姿の人たちが。
この日の気温は東京・練馬区で24.6℃を記録。三重・尾鷲市では25.6℃の夏日を記録していました。さらに、山形市では観測史上初の、市内に積雪のないクリスマスとなりました。
――今年も夏日になったりするのでしょうか？
天達気象防災キャスター:
東京は夏日というのはないと思うのですが、ただ西日本に関しては、長期予報でも気温が高い確率が多いという予想も出ていますので、西日本なら夏日という日も出てくるかもしれないし、関東もそれなりに気温は上がってくると思います。でも、ずっと暖かいわけではなくて、この時期に暖かくなるということは、寒気と暖気がせめぎ合っている状況なので、ものすごく暖かくなるということは、次に必ず寒い日がやってくるので、そこに気をつけないと。
暖冬なのに“冬の嵐”？
スーパーエルニーニョの影響は、高温になるだけではありません。2015年には、「冬の嵐」が多く発生していました。
2015年12月11日の神戸市では、「神戸ルミナリエ」のイルミネーションが強風により倒れる被害が発生。さらに、灘区では建設中だった摩耶駅の工事用の足場が倒壊しました。
この日、神戸空港では最大瞬間風速26.7m/sを記録。和歌山市では、最大瞬間風速35m/sという台風並みの暴風におあられ、コンテナ船が座礁しました。
スーパーエルニーニョになると、日本の南海上で低気圧が発生しやすくなります。この日も発生した低気圧が発達しながら西日本から東日本に進み、この低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ混んだため、太平洋側で強風・大雨となったとみられています。
さらに2016年1月には、東京で6cmの積雪を観測する大雪に。これもスーパーエルニーニョが引き起こしたものでした。
――今年の冬も嵐や大雪になる可能性があるのでしょうか？
天達気象防災キャスター:
今のところ大雪に関する情報は出ていないのですが、気にとめておく必要があります。
暖冬というのは暖かいイメージがあると思うんですけど、寒気が来たり下がったりするために、寒暖差が大きいということに気をつけなくてはいけません。
(めざまし8 10月24日放送)
