「がんって先生が闘う感じで、私たちは闘えない」そう話すのは小児がんで入院中の女の子。抗がん剤の量や期間など大人よりきつい治療に耐える小児がん患者をVR=仮想現実のゲームで支援しようというプロジェクトが広島で始まった。
人気漫画キャラクターでVRゲーム制作
広島大学病院 小児外科・佐伯勇 医師:
このプロジェクトで、がんの子どもたちに笑顔を届けていける。そういった未来があったらいいなと僕は思っています
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10月17日、広島市南区の広島大学病院で発表されたのは、小児がん患者のためのVRを使ったゲーム制作のプロジェクトだ。
![プロジェクト発表の場に置かれたVRヘッドセット](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/f/700mw/img_af6d97930fb65af32c82ce0f8e35ea04183266.jpg)
VRゲームには、海外でも人気の漫画『働く細胞』(講談社)のキャラクターを使用する予定。子どものメンタルケアに効果があると言われるVRゲームを通して、病気についても学べる内容だという。
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これまでも診察の練習にVRを活用
考案したのは小児外科医の佐伯勇医師。これまでも医療現場でVRを活用してきた。患者とのやりとりをシミュレーションするための「VR診察練習ソフト」を2021年、地元企業の協力のもと制作。医師のトレーニングに活用されている。
![小児外科の佐伯勇医師(右)とVR診察練習ソフトを体験する藤解諒医師(左)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/8/b/700mw/img_8b086afe40808e3afdaae9452995fb7e236883.jpg)
医師:
おなかのどのあたりが痛いでしょうか?
VR患者:
おなか全体が痛いです
医師:
おなかの痛みとしてはどんな感じなのでしょう?
VR診察練習ソフトを体験した医師は…
広島大学病院 小児外科・藤解諒 医師:
実際の外来診療に近い形で体験できるので、すごいリアリティ。勉強になります
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佐伯医師は、こうした技術を小児がんの子どもたちに生かせないかと考えた。
過酷な小児がん治療の支えに
小児がんは、白血病や脳腫瘍(しゅよう)など15歳未満の子どものがん。予防ができず、ある日突然診断されるケースがほとんど。毎年2000人~2500人の新たな小児がん患者が見つかっている。
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広島大学病院は中四国唯一の小児がん拠点病院で、小児病棟には30人以上の子どもが入院し、その約6割ががんの治療を受けている。
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広島大学病院 小児外科・佐伯勇 医師:
治療が大人よりもすごく厳しい。抗がん剤の量も、スパン(期間)も、ものすごく成人よりきつい。そういった苦しい治療に耐えなくてはならない
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コロナ禍で、より長期の入院を余儀なくされ、体調がいいときは「院内学級」で勉強しながら治療を続けている。
![広島大学病院の「院内学級」](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/d/5/700mw/img_d5fe8bb41deab96e1e5c821f93af2410224871.jpg)
入院中の高校一年生・貞森夏海さん:
やっぱりつらいですね。一日だけでもいいから家に帰りたいなっていう気持ちで日々頑張っています
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“生きる力を引き出す”ための挑戦
そんな中、入院中の子どもたちの心のケアにもつながるVRゲームの企画が持ち上がった。
入院中の高校一年生・貞森夏海さん:
がんって先生が闘う感じで、私たちは闘えないので、せめてゲームの中だけでも闘ってみたいです。楽しみですね
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VRゲームは2024年末までの完成を目指し、その制作費として、広島大学ホームページの「病院ファミリーハウス運営基金」で目標額を2000万円とした募金を受け付けている。
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広島大学病院 小児外科・佐伯勇 医師:
小児がんになった子どもたちの生きる力を引き出していきたい
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VRゲームが完成すれば、全国の小児がん患者が入院する病院でも活用してもらいたい考えだ。
(テレビ新広島)