モーニングのトーストや昼食のサンドイッチなど、さまざまな食べ方がある食パン。
その食パンの角型・山型を意識して購入したことはあるだろうか。角型は四角い、山型は上部がこんもりしているが、形以外は同じようにも見える。

実際、敷島製パン株式会社(本社・名古屋市)が2021年、男女100人に聞くと、約8割が角型と山型の違いを知らなかったという。ただ、食べ比べると約9割が違いを感じたともいう。お店では並んで販売されていることも多いと思うが、どんな違いがあるのだろう。

このほか食パン関連では、厚さの好みが地域で違うと言われるのも気になるところ。薄切りは東日本、厚切りは西日本で好まれるというものだが、考えられる背景はあるのだろうか。食パンの疑問を、敷島製パンの担当者に聞いた。
角型と山型は「整形・焼成」で大きな違い
――食パンの「角型」「山型」を販売しているのはなぜ?
食感や味わいの違いを楽しんでいただきたいからです。原材料や製造工程はメーカーで異なりますが、弊社の「超熟」では、整形・焼成で大きな違いがあります。
整形では「発酵後のガスの抜き方」が異なります。ノウハウに関わるので深くは回答できないのですが、角型は生地のガスを均一に抜くことで、きめ細かな内相(パンの内側)にします。山型は生地のガスをやさしく包み込み、ランダムな気泡を形成するようにしています。

――焼成ではどんな違いが出てくる?
フタをするか・しないかがポイントで、見た目の違いもここで発生します。フタをする角型は水分が残りやすくしっとり、フタをしない山型はふくらんで軽い食感に仕上がります。山型はフタをしない分、焦げやすいため、オーブンの温度を下げた上で焼き時間を長くしています。

――これらの違いで、味や食感はどう変わってくるの?
角型はしっとりとしたきめの細かい食パン、山型はさっくりとした軽い食感に仕上がります。傾向としては角型の方が売れ筋ではございますが、近年は山型の需要も高まってきております。

――山型はパンの耳が薄い(柔らかい)気もするが?
山型はフタをしないので、焼き上げる際に生地が上へ上へと膨らみ、耳が薄くなります。
角型はサンドイッチ、山型はトーストがお勧めな理由
――角型と山型はどう食べるのがお勧め?
角型はやわらかく、生で食べてもおいしいのでサンドイッチがお勧めです。もっちり食感がお好きな方は、4枚・5枚切りなど厚めを選んでもらうと良いと思います。山型は焼くとさっくりした食感が際立つので、トーストを勧めます。パンの食感が軽いので、スクランブルエッグなどジューシーな具材と合わせてもおいしく召し上がれます。

――それぞれのお勧めレシピはある?
角型は「3種のフルーツサンド」。材料は角型パン、プレーンヨーグルト、イチゴ、オレンジ、キウイ、生クリーム、砂糖で、作り方は生クリームに砂糖を入れて固めに泡立て、水切りしたヨーグルトを加えて混ぜ合わせます。フルーツは皮をむくなどしてから縦半分に切ってください。耳を切り落としたパンにクリームとフルーツを乗せ、もう1枚のパンでサンド。冷蔵庫で休ませたら完成です。

山型は「フレッシュトマトのピザトースト」。材料は山型パン、ミックスチーズ、オリーブオイル、トマト、ケチャップ、バジルで、作り方はケチャップとオリーブオイルを混ぜ、パンにぬります。その上に1cm幅に輪切りにしたトマト(種を取ったもの)を乗せ、ミックスチーズをかけて焼き色がつくまでトーストしたら完成です。お好みでバジルを乗せても良いです。
――購入者は山型や角型をどう楽しんでいる?
食感の違いを楽しんでいる方が多いのではないかと推察されます。
厚みの地域差は食文化の違いが影響か
――食パンは枚数(厚み)の好みに地域差があるというが、なぜ?
諸説ありますが、関西地区はお好み焼きなどの「粉もん」を食べる文化があるので、もっちりした食感の厚切りが好まれるのでは。関東地区は「煎餅」を食べる文化があるので、パリッとした食感の薄切りが人気なのでは、と推察しています。

――厚切り、薄切りでお勧めの食べ方はある?
厚切りの食パンは、シンプルにパンのおいしさを感じられる「バタートースト」、薄切りの食パンには、具材のおいしさも一緒に感じられる「ホットサンド」がお勧めです。
――食パンの保存方法でのポイントはある?
包装紙の記載方法に従って保管してください。著しく気温や湿度に影響を与える環境での保管は避けるよう、お願いいたします。冷蔵庫での保存はパンの劣化を早めてしまうのでお控えください。お勧めは冷凍保存です。ポイントは密封することで、1枚ずつラップに包み、冷凍用の保存袋に入れると良いでしょう。冷凍後は2週間を目安にお召し上がりください。
焼く場合は熱したトースターで、凍ったまま、通常よりやや長めにトースト。自然解凍する場合は密封状態のまま、庫外に出すことを勧めます。
角型と山型は製造工程の一部に違いがあり、それが食感や味わいの違いにつながっていた。いろいろなレシピがあるので、厚さも含めて、自分好みの食べ方を探すと楽しいかもしれない。