文部科学省が請求するかを検討している、世界平和統一家庭連合・旧統一教会への解散命令。
請求が実現すればどうなるのか。
文科省が旧統一教会の解散命令を請求すると、裁判所が今後、この請求が妥当かを判断する。
裁判所が解散を命じるかについて、「宗教法人法」では5つの要件が定められている。
例えば、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」、「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」などだ。
この規定に該当すると認められれば、請求は妥当と判断され、裁判所が旧統一教会の解散を命じる事になる。
一方、解散が相当でないと判断されれば、請求棄却となる。

裁判所での手続きは、全て非公開で審理が行われる。裁判所は、文科省と旧統一教会、双方の主張を聞き、提出された証拠や事実関係を調べた上で、解散命令を出すか判断する。決定内容に不服があれば、高裁、最高裁まで争うことができる。
もし解散命令が確定すると、布教活動といった宗教活動は続けることができるが、宗教法人という「法人格」を失い、固定資産税の非課税など税金の優遇措置が受けられなくなる。
過去に「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」を理由として解散命令が出された事例は2件ある。
1つは、地下鉄サリン事件の「オウム真理教」、2つ目は霊視商法事件の「明覚寺」だ。

いずれも最高幹部が刑事事件で立件され、組織的な犯行として訴追されたもの。
請求が出されてから解散命令が確定するまでの期間は、オウム真理教で7カ月、明覚寺は3年かかっている。
旧統一教会については、教団側が全面的に争うとみられるほか、高額献金や霊感商法といった民事上の違法行為が理由となるのは初めてのケースであることから、解散命令の可否が確定するまでには、相当の時間がかかるとみられる。