2023年4月、鹿児島・姶良市の認可保育園で、すりおろしたりんごを食べた後、窒息状態となった乳児が、5月下旬死亡した。事故発生から半年が過ぎようとしている10月5日、女の子の父親が初めてカメラの前でその胸の内を語った。

「抱っこしたい」「会いたい」

「娘がなんでこんな事故に遭わないといけないんだろうと。娘がいないという現実が非常につらい」父親はハンカチを片手に、カメラの前で悲痛な思いを語った。

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事故が発生したのは2023年4月18日。姶良市の認可保育園で、おやつの時間に保育士が生後6カ月の女の子にすりおろしたりんごを食べさせた。その後女の子は窒息状態となり意識不明に。そして5月28日、多臓器不全で死亡した。

女の子の両親は6月に代理人弁護士を通じ「これから娘の成長を見ることができないと思うと悲しくて悲しくてたまりません」とのコメントを出していたが、事故発生から半年がたとうとする10月5日、父親が初めてカメラの前で胸の内を話した。

死亡した女の子の父親:
娘のことに関して落ち着いてきたことと、娘のために何かできることはないかということで…。抱っこした時に笑いかけてくれるのが一番忘れられない

そして父親は「私たちにとっては希望だった。(娘に対しては)守れなくてごめんなさいとしか言えない」と声を震わせた。父親によると、母親はふとした瞬間に「抱っこしたい」「会いたい」と言うことがあるという。

男性の手元には小さなクマのぬいぐるみがあった。

女の子の父親:
この人形は娘が入院して亡くなるまで一緒にいた娘の誕生月のぬいぐるみ。妻が、娘が生まれた時に…買ってきて…

保育園の対応にも不満

女の子が死亡する前の5月24日、鹿児島テレビの取材に応じた園長は、事故当時の園の体制は「問題なかった」と答えている。会見中、父親は、園の対応への不満を何度も口にした。

女の子の父親:
園はとにかく対応が遅かったのではないか、という気持ちが一番強い。原因になったものが何だったのかというのを教えてもらいたい

そして父親は娘との別れの日のことを涙ながらに振り返った。

腕の中で…最後の一呼吸まで

女の子の父親:
先生が呼吸器などを全部外して、私たちの腕の中で…最後の一呼吸まで頑張って生きようとした姿を見られて…

そして「子育てしている人は子供に対してそのとき一瞬一瞬しかないので、できればそれを大事にして子育てしていただけたらと思います」と続けた。

遺族の代理人弁護士によると、現在も姶良市の検証委員会では原因究明の調査が行われていて、警察も捜査を続けている。

(鹿児島テレビ)

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