様々な観点から国に順位を付けるランキングは沢山ある。フランスの大手調査会社イプソスが選ぶ「国家ブランド指数ランキング」や、アメリカのグローバルファイナンス誌の「世界で最も安全な国ランキング」などがあるが、今回は9月に結果が発表されたばかりの「世界最高の国ランキング」を紹介する。

これはアメリカのUSニューズ&ワールド・レポート誌が毎年選定しているもので、2023年、日本は6位だった。
上位に入った事は喜ばしいことだ。しかし長引く不況や技術力の低下が叫ばれるなか、一体何が評価されたのか?真っ先に思い浮かぶのは、殺到する外国人観光客が示すような「歴史」「伝統」「文化」「治安」などだろうが、実は最も評価されたのは別の項目だった。
トップはスイス
まずはランキングの全体像を説明する。調査対象は世界87カ国で、36カ国の約1万7000人に対して、「冒険」「先進性」「文化的影響力」「起業」「伝統」「柔軟性」「ビジネス」「国力」「生活の質」「社会的目的」の10項目について質問し、それぞれでランク付けし、総合点を計算したという。
10位までの順位は以下の通りだ。
1位 スイス(100点)
2位 カナダ(99.3点)
3位 スウェーデン(98.9点)
4位 オーストラリア(97.6点)
5位 アメリカ(96.4点)
6位 日本(95.1点)
7位 ドイツ(94.8点)
8位 ニュージーランド(92.6点)
9位 イギリス(92.4点)
10位 オランダ(90.2点)
日本はアジアで唯一トップ10に入った。なお過去5年のランキングでは、2018年は5位、2019年は2位、2020年は3位、2021年は2位、2022年は6位となっており、上位をキープしている。
最も評価が高いのは「起業」
10項目の中で日本が評価されたものをいくつか紹介する。
まず「伝統」は6位の評価を受けている。これは、その国独特の伝統や遺産がどの程度残っているのかを評価したもので、1位はイタリア、次いでギリシャ、スペイン、フランス、メキシコで、日本は6番目の評価だった。

また食べ物やファッション、エンターテインメントなどの魅力を示す「文化的影響力」は5番目の評価だった。この項目の1位は、またしてもイタリア、次いでフランス、アメリカ、スペインだった。世界的に人気が高い日本食などが評価されたと思われる。
そして、10項目の中で最も高く評価されたのは、「起業」で全体の3位だった。
アメリカや中国に比べてベンチャーの数が少ないと言われてきた日本の評価が高いのは意外に思うかもしれないが、評価基準を読めば納得出来る。教育を受けた人口、交通や通信などのインフラ、法整備、世界とのつながりなどが評価基準になっているのだ。識字率が世界トップクラスで、安定したインフラや法体系を持つ日本は「起業」というカテゴリではランキングが高く出るのだ。なお「起業」の1位はアメリカ、2位はドイツ、3位日本、4位イギリス、5位カナダとなっている。
最も評価が低いのは「ビジネス」
逆に、最も評価が低かったのはビジネス(Open for Business)項目だ。87カ国中37位で足を引っ張っている。評価項目は法人税率、製造コスト、政府の透明性などだ。1位はスイス、2位はルクセンブルク、3位はフィンランドとヨーロッパ各国がトップを占めている。日本の場合は、法人税率が影響したとみられる。

また「社会的目的」も23位と低かった。評価基準は男女の平等、人権、環境への配慮、気候変動への取り組みなどだ。振り返ってみると、9月の内閣改造では、女性大臣は過去最多タイとなったが、副大臣と政務官は全員男性だった。残念ながら、評価が低いのも納得できてしまう。なお、この項目の1位はスウェーデン、2位ノルウェー、3位フィンランドと北欧諸国がトップ3を占めた。