いよいよ6月10日から、日本では外国人観光客の受け入れが再開されます。そんな中、世界経済フォーラムが発表した「観光魅力度ランキング」で、日本は1位を獲得しました。一体何が、どう評価されたのでしょうか。

外国人観光客を受け入れ再開に弾み?

新型コロナウイルスにより深刻な打撃を受けた観光業界がいま、大きな期待を寄せている「外国人観光客の受け入れ再開」。

岸田首相:
6月10日から添乗員付きのパッケージツアーでの観光客受け入れを再開します。

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5月26日、岸田首相は受け入れ再開の時期を6月10日と発表しました。外国人観光客を受け入れるのは約2年ぶり。それに先駆けて、5月24日からスタートしたのが国の実証事業ツアーです。

第1弾の観光客は栃木県や岩手県を訪問。アメリカやオーストラリアなどから約50人が日本を訪れます。そして、このツアーが始まったまさにその日、日本はあるランキングで世界の頂点に輝きました。それは「観光魅力度ランキング」です。

これは世界経済フォーラムが2年に1度、発表しているランキングで、旅行や観光に関する112の項目を総合的に評価したもの。日本は、交通インフラや文化資源などが高く評価されたのです。

松野官房長官:
我が国を訪れたくなる魅力を高めるため、精力的に取り組んでいるところであります。こうした外部からの評価も踏まえ、今後ともしっかりと取り組みを進めてまいりたいと考えております。

観光地としてどれだけ魅力的なのかを評価する「魅力度ランキング」で初めて世界1位となった日本。新型コロナウイルスの水際対策で、外国人観光客の受け入れをストップしていた日本がなぜ、世界一の評価を受けたのでしょうか?

東京オリパラで見えた「交通インフラ」が高評価

今回、世界経済フォーラム(WEF)が発表した魅力度ランキング。これは117の国と地域を対象に調査したもので、トップ10は以下のような結果になりました。

前回行われた2019年の調査では、日本は4位でしたが、今回初めて1位となりました。2位はアメリカ、前回1位だったスペインが3位と続きます。

トップ10を見てみると、顔ぶれは大きく変わらないものの、その中で変動がありました。前回のTOP3、スペイン、フランス、ドイツを抑えて1位となった日本ですが、どのような点が評価されたのでしょうか。112の評価項目のうち、日本が上位にきていたものを紹介します。

例えば、大型競技場の数が3位、また殺人発生率の低さとモバイル端末の普及率も2位。さらに世界文化遺産の数が9位、口承および無形文化財の数が4位、文化・娯楽観光に関する検索の数が4位と評価を受けています。

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん:
治安がよいというのは昔から日本は言われていますが、それ以外にいくら観光地が素晴らしくても、そこに行く交通アクセスであったり、利便性というのも大きいです。日本は元々、公共交通機関が充実しているんですが、2018年に初めて外国人観光客の数が3000万人を超え、これによって多言語の表記が増えました。

さらに、外国人からの不満が多かった地下鉄やJRで切符を買うのが面倒という点も、外国人用のSuicaやPASMOもできたことで、公共交通機関を利用しての移動がしやすく、個人旅行がしやすいという点が上位に入った要因です。

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん

そんな中、最も評価を受けたのが「交通インフラ」。

鉄道サービスの正確さが1位、公共交通機関の本数も1位。また、航空サービスの値段が3位、アクセスの良さも5位という結果に。

交通インフラの評価が上がった理由として、2021年に行われた東京オリンピック・パラリンピック開催があげられます。

都内に設置されている道路標識は、東京オリンピックに向けて、英語表記やピクトグラムを追加するなど1万枚以上が整備されました。歩道に設置されている観光客のための案内標識も500基あまり増やして、約1600基にするなど訪日外国人にもわかりやすくなりました。

また、東京メトロでも、オリンピック開催決定後の2013年ごろから案内板の表記を英語だけでなく、中国語・韓国語も併記したものの設置を進めています。

現在は、すべての駅で多言語の案内板を設置していて、2020年までにこういった多言語案内が増えたことも高評価の一因になっているようです。

さらに航空インフラの評価が、近年特に急上昇しているといいます。

高評価の理由は、格安航空会社LCCの運行が増えていることだそうで、例えば日本航空(JAL)が出資するジップエアは、成田とソウルを結ぶ便の増便が決定しています。またピーチ・アビエーションは今年、国内線の運航便数を2019年の夏と比較して約3倍に増やす計画です。

多くの項目で高評価を受け、世界一となった日本の観光産業。世界経済フォーラムは、日本が1位になった主な理由として3点挙げています。

観光地が抱えるリスク改善、隙間時間での観光も

1つ目が、「交通インフラの充実」。

日本は様々な交通手段があり、人気観光地に集中しがちな観光客を時間的にも場所的にも分散させられるため、高評価を受けているというのです。観光客を分散させることで人込みも回避でき、トイレ不足や騒音、環境破壊などのリスクも低減できることから、日本は高い評価を受けたのです。

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん:
日本人からすると、国内でトイレ不足を感じることもありますが、海外の方からすれば母国の方がトイレ不足であることが多く、日本はそれなりにトイレの数も確保しています。なにより、人混みという面で見ると、日本人は礼儀正しくゴミのポイ捨てなども少ないので、景観を乱さないということもあります。

渋滞もありますが、公共交通機関が充実しているので、ある程度のところまでは電車で行けますし、混んでいるのは年末年始やゴールデンウィークなどです。世界を見ても、フランス・パリのエッフェル塔でも3時間ぐらい並びますので、行列というのが昔の日本では問題視されていましたが、今は世界中で並んでいるのでそこの差は減ってきたと思います。

続いて、2つ目の理由は「レジャー以外の旅行の機会」。

コロナ禍により、私的な旅行で日本に来る方はいなくなりました。ただ、日本には世界的トップ企業や大学などがあり、ビジネスなど観光目的以外で訪日する機会も少なくありません。ビジネスや留学などで日本を訪れた人々が、合間の時間に観光する。そういったスポットが多い点も高評価のポイントになっています。

「かなり高評価」”サステイナブル観光”とは?

そして、理由の3つ目が「サステイナブル(持続可能な)旅行」です。

昨今の旅行のトレンドにもなってきている「サステイナブル(持続可能)な旅」への注目度。実は、新型コロナウイルスの感染拡大で観光客が激減したことにより、山の木々が以前より生い茂ったり、海や川の水の透明度が回復するなど、各地の観光地の環境が改善したのです。

こうしたことをきっかけにコロナ禍で旅行に対する意識も大きく変化。これを受けて「サステイナブル(持続可能な)観光」を重視する人が増えてきたといいます。

サステイナブル観光とは、地域住民の生活環境などは守りつつ観光客の満足度も高く、観光ビジネスとしても成り立つ、「みんなで観光地の本来の姿を守るための観光地づくり」です。前回の2019年のランキングでもサステイナブルな観光を評価する項目は含まれていましたが、コロナ禍で今回のランキングでも改めて注目されました。

サステナビリティを評価するランキングで見てみると、トップは北欧が多い中で日本は11位。JTB総合研究所の牧野博明さんによると、「北欧各国が上位を占める中、日本の11位はかなり高評価」だといいます。

では、サステイナブル旅行とはどんな旅なのか、具体例とともに見ていきます。

こちらは、岡山県井原市美星町。2021年11月に「星空保護区」に認定された町です。星空が美しく見えるよう町内の街灯を下向きにし、明かりが上空に漏れないものに交換するなどして、光の影響が少ない自然な夜空を守る取り組みを実施し、アジアで初めて認定された場所です。

こうした景観を守る活動をしている地域を訪れ、「知る」こともサステイナブル観光だといいます。

24日から外国人観光客の実証事業ツアーも始まりましたが、現在はコロナ禍の影響で2019年には3000万人ほどいた訪日外国人が減少。

今後、この観光魅力度ランキング世界一を武器に、チャンスをモノに出来るのでしょうか。専門家の皆さんに伺ったところ、課題が1つあるといいます。

JTB総合研究所の牧野さんは「デジタル化が遅れている点」をあげました。また鳥海さんも「海外からは鉄道などのチケットが取るのが難しい」と指摘しています。

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん:
国内線の飛行機は1年前から予約できますが、新幹線は今でも1カ月前からしか取ることができません。そうなると旅行の計画が立てにくいですし、海外からインターネットでの購入もしにくいといった課題があります。

デジタル化の遅れを克服し、政府が掲げる観光立国を実現することはできるのでしょうか?

(めざまし8「わかるまで解説」 5月27日放送)

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