日銀は、9月21日からの2日間、金融政策を決める会合を開いている。円安が進み、金利が上昇する中、こうした動向についても議論される見通しだ。

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今回の日銀の会合では、前回長期金利の上限を事実上1%まで引き上げた影響などについて意見が交わされるが、市場関係者の間では、今の金融緩和は維持されるとの見方が優勢だ。

一方、アメリカではFRB(連邦準備制度理事会)の会合で利上げが見送られたものの、この先も高い金利水準が続くとの見通しが示された。

長期金利も一時、0.745%と高水準
長期金利も一時、0.745%と高水準

アメリカの金利上昇の流れから、日本の長期金利も一時0.745%と高い水準を付けた。

一時、148円台半ばまで円安進行
一時、148円台半ばまで円安進行

また、東京外国為替市場の円相場は、一時1ドル148円代半ばまで円安が進み、日銀会合での議論が注目される。

円相場の値は1ドル147円48銭から49銭
円相場の値は1ドル147円48銭から49銭

9月21日23時40分時点の円相場の値は、1ドル147円48銭から49銭だった。

追加利上げうかがう「タカ派」

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実キャスター:
日本もアメリカも、金融のかじ取りが難しい局面を迎えていますが、いかがですか?

経済アナリスト・馬渕磨理子氏」:
金融政策では、利上げ容認を「タカ派」、利下げを望むのを「ハト派」といいます。
今回、アメリカの金利は据え置きとなり、ハト派が勝利したカタチになりますが…。利上げ容認のタカ派が爪を研ぐように、物価次第では「追加の利上げ」もあり得ると、その機会をうかがっているのが今の状況です。
利上げの目的はインフレ退治。物価高にブレーキをかけるためです

堤 礼実キャスター:
アメリカの物価高は、どんな状態なんでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子氏:
アメリカの8月の消費者物価指数を見ると、前年の同じ月と比べて3.7%の上昇となっています。「強欲なインフレ」と言われる便乗値上げが起きたり、原油価格も高値で推移するなど、物価高への懸念が広がっています。
こうした物価高対策として金融の引き締めを行い、アメリカの金利は5%、住宅ローン金利7%と高い水準にあります。利上げは、企業の借入負担が重くなることから、景気にネガティブな影響を与えることがありますが、アメリカ経済は軟着陸、ソフトランディングするとの見方が増えています。
これはFRBのパウエル議長による、マーケットとのコミュニケーションが上手くいっている点が挙げられます。アメリカ経済の潜在成長率は1.8%、インフレ目標は2%、金利はいずれ2.5%まで下げるという現状の認識と目標ゴールについて、丁寧に何度も説明することで、マーケットの混乱を防いでいます

円安進行への金融政策が焦点

堤 礼実キャスター:
日本については、いかがですか?

経済アナリスト・馬渕磨理子氏:
日銀の金融政策決定会合の後に行われる植田総裁の会見は、マーケットとの対話姿勢が問われるため注目です。
加速する円安に対して為替介入への警戒感が高まる中、円安に関する発言があるのか。
さらに、植田総裁は事前取材で「金融政策の修正」について言及していますが、改めてどんなメッセージを示すのか、これが焦点となります

堤 礼実キャスター:
日銀の金融政策決定会合は9月22日まで行われます
(「Live News α」9月21日放送分より)

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