秋はスズメバチに刺される危険性が高まる。福井では9月、登山客8人が刺され、1人は強いアレルギー反応が出たためヘリコプターで搬送された。全国では年間20人前後がハチに刺されて死亡している。医師は「刺されたらすぐに冷やす」重要性を呼び掛けている。

登山客がスズメバチの被害に

福井市の一乗城山(いちじょうしろやま)山頂付近で9月11日、長野から来ていた登山客8人がスズメバチに刺された。このうち60代男性1人が強いアレルギー反応「アナフィラキシー」を起こし、県防災ヘリで病院に搬送された。8人全員、命に別状はなかった。

福井市によると、このグループは21人で登山道を歩いており、何らかの原因で近くにあった巣を刺激してしまったという。

ハチの危険性を知らせる張り紙
ハチの危険性を知らせる張り紙
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被害を契機に登山口に張り紙をして、注意を呼び掛けている。
なぜこの時期にスズメバチに刺される被害が出たのか?生態に詳しい福井市自然史博物館に聞いた。

福井市自然史博物館・伊藤勝幸さん:
この時期は一番働きバチが多い。一番の大きな原因は(巣の中で)新女王バチが生まれること。働きバチが(新女王を守るため)非常に敏感になっている。だからこの時期に刺されることが多い

特に注意が必要な期間は8月下旬から10月中旬。巣に近づいたり物音をたてたりすると、敵とみなされ攻撃される危険性が高まる。特にオオスズメバチは他のハチよりも大きく、刺された場合の症状も重い。

福井市自然史博物館・伊藤勝幸さん:
オオスズメバチはどこに巣があるか分からない。例えば土の中や岩陰など特に目立たない。だからうっかり近づいて、いきなり刺される場合がある

刺されることで“心肺停止のリスク”も

では、スズメバチに刺されるとどうなるのか?福井市の県済生会病院で専門医を取材した。

県済生会病院 皮膚科・長谷川義典医師:
ハチに刺されたところがまず赤くなる、腫れる、痛み、かゆみが生じる。2回以上刺されると、全身の症状=アナフィラキシーショックが出ることがある

複数回刺されると、ハチの毒に対して過剰なアレルギー反応を起こす。場合によっては心肺停止となり命を落とすことも。国内では年間20人前後がスズメバチに刺されたことが原因で死亡している。

ハチへの“予防”と“対処法”

もし刺されてしまったら…。適切な対処法を聞いた。

県済生会病院 皮膚科・長谷川義典医師:
刺されると痛みや腫れが生じるので、その部分を(水で洗って)冷やすことが一番。冷やすことで痛みが軽減する上に、腫れが進行するのを遅らせることができる

私たちができる主な予防法は次の3つだ。

・ハチの巣があるところを避ける
・肌の露出を防ぐ
・ハチを刺激する黒い衣服を避ける

(福井テレビ)

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