熊本県消防学校で5カ月にわたり厳しい訓練に励んできた消防士の卵たちが、卒業の日を迎え、最後の訓練では成長した姿を家族などに披露した。仲間とともに過ごしたかけがえのない日々を胸に彼らは第一線の現場へ。

厳しい訓練に挑んだ消防士の卵たち
熊本・益城町にある熊本県消防学校のグラウンドには、2023年4月に入校した消防士の卵、初任科生55人が凛々しい顔つきで並んだ。

彼らは約5カ月間、800時間以上に及ぶ厳しい訓練に励んできた。
上益城消防組合消防本部所属・井ノ口晴紀さん:
祖父が倒れた時に救命士の方が来てくれて、救命処置をする姿を見て憧れを抱き、消防に入ろうと思った

熊本県消防学校・串下彰一教務参事:
君たち以上に(要救助者は)痛い思い、苦しい思い、つらい思いをしている。苦しい顔すんなよ!
その言葉に消防士の卵たちは、気合いの入った「よし!」で返した。
「必ず生きて帰る」55人強い思いで卒業
消防士としての基礎を叩きこまれた初任科生は、卒業式の9月15日、家族や教官などの前で、最後となる訓練に臨み、習得した知識と技術を披露した。

また、実際の災害を想定した地震で倒壊した建物に閉じ込められた人を救助する訓練も行った。
そこには仲間と力を合わせ、迅速かつ確実に救助に当たる初任科生の成長した姿があった。

そして、卒業式では初任科生55人、誰一人欠けることなく卒業証書を受け取った。

熊本市消防局所属・鳥居圭佑さん:
自分がよければそれでいいという考えではなく、全員で同じ方向を向いて進んでいくことの大切さを学ぶことができました。「現場から必ず生きて帰る」これが私たちにできる恩返しだと思います。「絶対に現場で死なない」ということを肝に銘じて頑張っていきます
かけがえのない日々を胸に第一線へ
有明広域行政事務組合消防本部所属・黒木堅伍さん:
きついこともたくさんあったが、教官のサポートや同期と励まし合ってみんなのおかげで乗り越えられた

また、有明広域行政事務組合消防本部所属の瀬﨑祐太郎さんは「常に向上心を持って、『彼らが来たら大丈夫』と思ってもらえるような消防士目指して頑張りたい」と意気込みを語り、卒業式に参加した瀬崎さんの祖父は、「地域のために頑張ってもらいたい」と一回り成長した孫の姿を喜んでいるようだった。

上益城消防組合消防本部所属・井ノ口晴紀さん:
地域の人々に感謝し、頼られる消防士になりたい

式の翌日、熊本県内11の消防本部に配属された55人は、仲間とともに過ごしたかけがえのない日々を胸に、第一線の現場で活動にあたる。
(テレビ熊本)