熊本県消防学校に入校したばかりの新人消防士たちが、登山や要救助者の搬送などの訓練を行った。お互い声を出し合い、訓練終了後は「これまでよりももっと深い関係になれた」と語った消防士たち。仲間と支えあった一日に密着した。
足場悪い俵山を…山岳踏破訓練
5月11日、阿蘇郡西原村の俵山に、多くの消防士たちの姿があった。消防活動応用訓練に臨む4月に消防学校に入校したばかりの新人消防士たちだ。

毎年行われているこの消防活動応用訓練に堂前泉紀記者が同行した。まずは隊列を組んで俵山を登る山岳踏破訓練だ。標高1,095メートルの俵山は足場も悪く急勾配。消防士たちは軽々と登っていくが…。

堂前泉紀記者:
登り始めてから40分くらいたちました。きついです…
消防士:
ファイト!ファイト!頑張ってください!
登山開始から約1時間で、ようやく1つ目の休憩地点に到着した。

堂前泉紀記者:
いや、もう無理かもしれない…
声出し合い…開始から2時間で山頂に
堂前記者と違って涼しげな表情を見せる隊員たちに、消防士を目指した理由を聞いた。

菊池広域連合消防本部・米村和真さん:
自分は熊本地震の時に、地元(阿蘇)が大きな被害を受けて、その時に消防士が来て救助している姿を見て憧れを持ち、消防士になろうと思った
上益城消防組合消防本部所属・井ノ口晴紀さん:
祖父が倒れた時に救命士の方が来てくれて、救命処置をする姿を見て憧れを抱き、消防に入ろうと思った
休憩もつかの間、登山再開の時間になった。

堂前泉紀記者:
本当に無理かもしれない
消防士:
頑張りましょう!ファイトです!
渡邉俊一朗カメラマン:
(消防士たちと)一緒に楽しく!元気出して!

登山再開から間もなくして、カメラを回す手もきつくなってきた堂前記者は、消防士たちと声を出し合うも体力の限界を迎え、消防士に撮影を代わってもらった。
有明広域消防本部所属・瀬﨑祐太郎さん:
ゴープロ託されました。迫学生、頂上まであと少しとなりましたが、今の気持ちは?

熊本市消防局所属・迫将寿さん:
みんなの声出しがあったからこそ、ここまで来られたと思います
有明広域消防本部所属・瀬﨑祐太郎さん:
あと少し頑張っていきましょう
熊本市消防局所属・迫将寿さん:
はい、頑張りましょう!

そして、登山開始から約2時間でようやく頂上にたどり着いた。励まし合った仲間とともに頂上で食べるお弁当は最高のごちそうだ。
誰一人欠けることなく搬送訓練終える
一息ついたら下山だ。ここでは要救助者の搬送訓練を行う。捜索訓練開始の合図と共に要救助者を捜索し、発見して搬送する。

熊本県消防学校・串下彰一教務参事:
君たち以上に(要救助者は)痛い思い、苦しい思い、つらい思いをしています。苦しい顔すんなよ!君たちの声掛けと表情で、要救助者は心強く思うし安心できます。そういったことを心掛けて、しっかり搬送を行ってください、いいね!

少しでも安全に、少しでも早く要救助者を搬送するためには、チームワークが必要だ。新人消防士たちは、出会って1カ月とは思えない連携で訓練に取り組み、全ての班が誰一人欠けることなく搬送訓練を終えた。

熊本県消防学校・串下彰一教務参事:
消防活動を行う上で、チームワークが非常に重要。体力・知識も必要だが、忍耐力、そして一番重要なのは協調性、そして絆を深めて要救助者を安心させて搬送することが最大の目的

上益城消防本部所属・井ノ口晴紀さん:
どれだけ傷病者に安心してもらえるかを常に考えて行動していきたいと思った
菊池広域連合消防本部所属・米村和真さん:
きょうの訓練でチームの一体感は生まれたと思う。(消防学校にいるのは)残り5カ月もないが、この経験を生かして頑張りたい
チームの絆深まる1日に
しかし、この日の訓練は、ここで終わらない。消防学校までの約16kmを走る走破訓練が残されていたのだ。堂前記者もついていくも途中で断念。

そんな堂前記者とは裏腹に、元気よく帰ってきた消防士たち。この日の経験で、チームの絆も深まったようだ。

熊本市消防局所属・内田颯輝さん:
今までにない経験をしたので、これまでよりももっと深い関係になれたんじゃないかと思う
(テレビ熊本)