年間5.5トンも廃棄処分していた魚の骨がゼロになる。

鯛やフグを取り扱う熊本県の企業が「真鯛の骨」を活用し、カルシウムたっぷりのせんべいを開発した。

(出典:ふく成)
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1960年創業の「株式会社ふく成」(熊本市)は養殖と卸売が専門の企業。しかし「新型コロナウイルス」の影響で売上が8割も減少したため、2020年にオンラインショップで通販を開始したという。

すると、卸売では切り分けなかった真鯛の頭や骨を廃棄することになり、1年間に約5.5トンを処分することになったというのだ。

(出典:ふく成)
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ただ頭や骨も「利用価値がない」のではない。愛情を持って育てた真鯛を余すことなく美味しく食べてもらいたいとの思いから商品化に向けた試行錯誤を重ね、福岡県の菓子食品メーカーと鯛骨せんべい「こっぱせん」を開発。9月18日に発売した。

(出典:ふく成)
(出典:ふく成)

「こっぱせん」の「こっぱ」は、木っ端微塵の「こっぱ」と同じ、小さく切るという意味の方言だという。真鯛の骨を細かい粉末状にした「こっぱ」に「せんべい」を足し、新たな特産品になってほしいとの思いも込めて「こっぱせん」と命名した。

「こっぱせん」は2枚ずつに小分けされた8袋計16枚入りで686円(税込)。カルシウムは2枚で25mg含まれており、保存料を使用していないことから「子どもからお年寄りまで」安心して食べられるという。

とても硬い真鯛の骨の粉砕に苦労

魚の骨を使ったせんべいは他にもあるが「こっぱせん」はどんな特徴があるのか?「こっぱせん」によって今まで廃棄していた鯛の骨などはどのぐらい減るのか?

ふく成の取締役を務める平尾有希さんに聞いた。


――「こっぱせん」の開発はどこに苦労した?

真鯛の骨は大変硬く、油分が多いなど様々な課題が多く粉砕することが困難です。そのため真鯛の骨を粉状にすることが1番難しかったです。


――他の「魚の骨を使ったせんべい」と比べた特徴は?

申し上げたように粉砕が困難なため、真鯛の骨を直接使用した商品自体が少ないです(出汁などの間接使用はありますが)。

また、カルシウム含有量が多いのが特徴で、子どもにも安心して食べさせられるように原材料は、熊本県の認証を得た養殖魚のみを使用し、商品作製時に保存料などを使用していません。

こっぱせんで廃棄していた骨などをゼロに

――コロナで売上が8割減ったというが、オンラインショップで盛り返すことはできた?

はい。2023年9月には前年比の200%を超える売り上げを上げました。産直ECの「食べチョク」で、2020年・2021年の2年連続水産部門1位のアワード受賞をいただきました。


――「こっぱせん」が売れると、年間約5.5tの廃棄はどのぐらい減る?

廃棄していた骨などを廃棄ゼロに出来ます。新鮮なままで冷凍出来る技術があるので、廃棄部分も特殊冷凍して保管し、商品に変えることが可能です。


――トラフグも取り扱っているようだが、「こっぱせん」のような商品は出る?

トラフグは、骨の部分も鍋や唐揚げなどで使用しますので、現時点では明確な商品開発はありませんが、今後何か新しい商品を開発したいと思っています。

「ふく成」平尾有希取締役
「ふく成」平尾有希取締役

平尾取締役によると、「こっぱせん」はアンテナショップなどで販売する可能性もあるという。この発売されたばかりの「こっぱせん」が人気となり、いつか熊本の新しい特産品になるのかもしれない。

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。